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建仁寺方丈前庭  けんにんじほうじょうまえにわ

庭の概要

所在地 京都市東山区大和大路四条下ル小松町
電話 075-561-6363
作庭年代 昭和
作庭者
様式 枯山水
寺社の創建年代 建仁2年(1202年)
文化財指定・登録状況
敷地面積 約1,000㎡
公開状況 公開中 (500円)

歴史・いわれ

建仁寺方丈前庭の画像 力強いラインを創り出す方丈前の石組

 花見小路を南へ向かうと建仁寺に突き当たります。宋から帰国した栄西禅師(※1)が開山した京都最古の禅宗寺院で、開山の鎌倉時代・建仁二年(1202)が寺名の由来となっています。


 重要文化財である方丈は昭和九年の室戸台風で倒壊、六年後に復旧されました。方丈の南庭は儀式の場として法堂【はっとう】から石敷通路が縦断する白川砂敷きの広い庭でしたが、この期に庭師・加藤熊吉氏により枯山水式庭園として作庭されました。


 「大雄苑【だいおうえん】」と命名されたこの庭は、勅使門【ちょくしもん】から三門【さんもん】、法堂、方丈へと南北に一直線で結ばれた伽藍【がらん】の配置を念頭に、法堂から続く門を中心として構成されています。 


 方丈の縁から拝観すると、左手には中央に寄りかかるような力強いラインを見せる三巨石が、右手の大らかな二石と視界の外れにある石塔まで気勢【きせい】を押し込むように立っています。石組を中心としたそれぞれの景は素晴らしく、広縁【ひろえん】に座り、じっくりと対峙して楽しむことができます。大海のかなたに峨峨【がが】たる山々が聳【そび】え立つ様が見えてくるようで、大海を二度渡るという大変な修行の後、中国・百丈山を模して建仁寺を造営されたという栄西禅師の世界を表現しているように見えます。


 西南隅にある七層の石塔は、織田有楽斉【うらくさい】(※2)が兄・信長を弔うために建立したものだそうで、手前の石組や背後の樹林と合わせて見事な景を創り出しています。白砂で表した大海の中に石塔が浮かんで見えるように考えられているのかもしれません。


 簡素でありながら強靭な意志を感じる美しい庭であり、明治から昭和の初期を代表する庭師・加藤熊吉氏の力量がひしひしと伝わってきます。


 中庭には「〇△□乃庭」や「潮音庭【ちょうおんてい】」などの近年作庭された庭も公開されています。歴史を感じさせる建物群とともに、ゆっくりと見て回ってください。

花見小路の賑わいを通りすぎた後、静寂な空間に身を置いて禅の心に触れてみてはいかがでしょうか。


※1・・・栄西(ようさい/えいさい)...平安時代末期から鎌倉時代初期の僧で、臨済宗の開祖。建仁寺を開山。

※2・・・織田有楽斎...安土桃山時代から江戸時代初期にかけての大名・茶人。建仁寺正伝院を再興。

見所・みどりの情報

建仁寺方丈前庭の画像 アカマツと奥深い景を創る石塔
庭全体を眺めてみると、建物や土塀の屋根のラインも、この空間を構成する大きな要素となっています。クロマツの幹や枝、石組を包み込む低木の形や足元の苔のムクリまでもが、この空間を作り上げるように育成され、訪れる者を出迎えてくれます。白川砂の砂紋と同じように、細部にまで禅の心が行き届いています。

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