京都平安ホテル きょうとへいあんほてる
庭の概要
所在地 | 京都市上京区烏丸通上長者町 |
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電話 | |
作庭年代 | (改修)大正11年(1922年) |
作庭者 | (改修)植治(小川治兵衛) |
様式 | 池泉回遊式 |
寺社の創建年代 | |
文化財指定・登録状況 | |
敷地面積 | 約1,650㎡ |
公開状況 | 無料公開 |
歴史・いわれ

御所に沿った緑豊かな烏丸通りに、京都平安ホテルは低い石積みに囲まれ落ち着いた佇まいを見せています。
玄関からロビーを通りぬけると、街の中とは思えないほど緑にあふれた広い池庭が陽光にきらめいています。昔の京都には、このように外からは見えない工夫を凝らした庭園がたくさんあったのでしょう。
この庭園は江戸時代後期、公家屋敷に作られた池泉回遊式庭園です。その後、大正年間に日本庭園の作庭で名高い植治・小川治兵衛氏により改修され、昭和55年の平安会館改築時に再度改修されて現在に至っています。
レストランからは池の正面が展望でき、手前に見える白川石の八つ橋のラインと、木々に垣間見える奥の四阿【あずまや】との遠近感が、様々な緑の模様と大胆な石組で構成された空間を引き締めて、広大な景色を創り出しています。
庭先の芝生地に立ってみると、樹木で覆われた深い森からせせらぎが池へと流れこんでいます。その奥をよく見ると幾段かの滝が流れ落ちています。
建物近くの芝生地奥にも井筒から湧き出る噴泉が流れとなり、水音を身近に感じさせてくれています。この流れの沢飛びを渡ると、赤い壁に丸窓が設えられた美しい四阿が見えてきます。「龍鱗【りゅうりん】」と名付けられたこの四阿には、池に面して大きく開けた窓と板の間が水面に突き出たように作られており、そこに腰をかけ水面を渡ってくる涼風を感じながらのひと時は、格別の趣があります。
池右手の築山方面にも窓があり、優しくうねった苔地の山肌が木洩れ日を受けて緑滴る景を切り取り、こちらは山里の佇まいを見せています。鮮緑の苔の丘からは、芝生地から見えた滝が流れ落ちています。少ない水の量で山奥の渓流を創り出し、苔を使い斜面を奥山の風情に作り変えるこれらの技法は、近代庭園の祖・植治(※1)の作風を充分に感じさせてくれています。
※1 植治......植治は、江戸時代中期、宝暦年間から続いている造園業者の屋号で、当主は代々「小川治兵衛」を 襲名している。七代目・小川治兵衛は、平安神宮・円山公園・無鄰庵等国指定名勝指定庭園の作庭を手がけたことで有名。
※2 ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング......アメリカ合衆国で発行されている、日本庭園・日本建築の専門雑誌。日本国内の日本庭園ランキングを、毎年実施している。