京の庭を訪ねて:庭園を通じて京都の「緑の文化」に触れてみませんか?

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杉本氏庭園  すぎもとしていえん

庭の概要

所在地 下京区綾小 路通新町西入ル矢田町
電話 075-344-5724
作庭年代 1870(明治3)年
作庭者
様式 京町屋の庭
寺社の創建年代
文化財指定・登録状況 国指定名勝
敷地面積 約810㎡
公開状況 公開(維持保存協 力金として1,500 円)※不定期 のためHP(http://sugimotoke. or.jp) を確認

歴史・いわれ

 綾小路通新町を西へ向かうと京格子や犬矢来、土塗りの虫籠【むしこ】窓など昔ながらのたたずまいを見せる「杉本家住宅」があります。もとは「奈良屋」という屋号を持つ呉服商で1743(寛保3)年に烏丸四条下ルで創業し1767(明和4)年に現在地に移りましたが、蛤御門の変の「元治【げんじ】の大火【たいか】」のあと1870(明治3)年に当時の間取りを踏襲して再建されました。表通りの店舗部と裏の居室をつなぐ職住一体の表屋【おもてや】造り形式を備え、建物は2010(平成22)年6月重要文化財、庭園は2011(平成23)年2月名勝に指定されています。
 奥座敷に北面する「座敷庭」は客を迎えるための主庭で、大ぶりな春日燈籠や伽藍石【がらんせき】、蹲【つくばい】などの素晴らしい石造美術品があり、往時の財力を彷彿【ほうふつ】とさせます。柴垣【しばがき】と庭門に囲まれた小さな空間ですが、常緑樹を透かして見せることにより広く、美しく、涼やかな空間を創りだしており、植木職人の伝統技も堪能できます。垣は建物に対して斜めに作られて、室内から望む姿を変化のあるものにしています。こちらは作庭の技、坐位【ざい】と立位【りつい】の姿を比べてみてください。
 座敷の南は、二方を土塀で囲まれた空間に黒く平らな滑石【なめりいし】と呼ばれる石を青海波【せいがいは】模様として敷き詰めた「仏間庭」で、水をたたえた銅の水盤が据えられているだけの静謐【せいひつ】な空間です。座敷の縁側へと続く延段【のべだん】の模様も美しく、水盤の足元や景石の上にも何か物語がありそうです。仏間に座してじっくりと鑑賞してください。

 このほかにも邸内には薮内家【やぶのうちけ】茶室露地を写した「露地庭」や「中庭」、「走り庭」などがあります。「庭屋一如【ていおくいちにょ】」とは庭と建物の調和がとれ快適な空間が創りだされていることですが、京町屋では生活と仕事の場が同居しており、その係わりが重要な意味を持っています。庭は四季折々の風情を感じさせるだけではなく、日光や風を取り入れ、光や湿度・温度の調整装置としても機能してきました。「庭」という言葉は生活の場を表すこともあり、「中庭」は玄関口、「走り庭」は台所など作業をする場として、使い込まれた敷石が歴史を物語っています。

 すぐ西には綾小路通から四条通まで通り抜けられる「膏薬【こうやく】の辻子【ずし】」と呼ばれている路地【ろーじ】もあり、昔ながらの町並みが残っています。 京都らしい風情が感じられる江戸から明治にかけての商家の暮らしを訪ねてみてはいかがでしょうか。


杉本氏庭園の画像 「透かし」の技が生きる座敷庭
杉本氏庭園の画像 黒い滑石の青海波が美しい仏間庭

京の庭を訪ねて

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