京の庭を訪ねて:庭園を通じて京都の「緑の文化」に触れてみませんか?

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伏見稲荷大社・社務所庭園  ふしみいなりたいしゃ・しゃむしょていえん

庭の概要

所在地 京都市伏見区深草藪ノ内町
電話 075-641-7331
作庭年代 2010年(併設の庭は明治期)
作庭者 株式会社植芳造園
様式 池泉式
寺社の創建年代
文化財指定・登録状況
敷地面積 1,850㎡
公開状況 非公開

歴史・いわれ

伏見稲荷大社・社務所庭園の画像 社務所斎館より南を望む

 全国に3万社あるといわれるお稲荷さんの総本宮である伏見稲荷大社は、711(和銅4)年の御鎮座から2011年に1300年を迎え、数々の記念事業が進められました。今回紹介する庭園は、社務所の増改築・新築に伴い、新たに昨年末に造られた日本庭園です。コンセプトは「古代から現代へ」と、時間と空間が織りなす世界が表現されています。

 明治期に造られた庭の横を進むと、雲か雪の様にも見える白い割肌の花崗【かこう】岩とアカマツの幹、緑の苔ときらきら光る水面が織りなす斬新で現代的な空間が展開してきます。更に奥へ進み回り込むと、稲荷山を望む方角にこの庭園の全体像が見えてくるのです。

 正面には白砂の広場と大きな水面、その向こうには荒々しい岩山から滝が流れ落ちています。
この岩壁の上には草地の間を渓流が流れる優しい空間が広がり、神の領域のような別世界となっています。
右手は大きく羽を広げたような美しい和風の建屋と先に見た現代的な空間、左手は山石の荒磯、背景は稲荷山へと繋がる森。
雄大な池泉回遊式の庭園です。

 日本庭園の黎明期でもある万葉の時代には、神池【しんち】・神島(※1)を中心にした庭づくりが行われていました。この様式を踏まえ、神の依代【よりしろ】(寄りつく物)たる神島から、神様の道が水面を通り庭の中心を貫き、遠く稲荷山へと続いているようにも思えます。
この庭園は1300年の時間と信仰の軸を骨格としており、左奥の渓流部は1300年前の古代の姿を、右手前は現代の姿を現しています。すなわち、時の軸が斜めに、信仰の軸が中央を走っています。

※1 神池・神島......神社の境内に造られた神を祀(まつ)る池や島。

見所・みどりの情報

伏見稲荷大社・社務所庭園の画像 正面の池に落ちる滝流れ
しかし少し見方を変えてみると、手前の現代風な様式は、平安時代に貴族たちが憧れた世界を連想してしまいます。 金閣寺・銀閣寺庭園の基にもなった白砂青松の西芳寺庭園(※2)も、苔むす前はこの様な美しさではなかったかと思われます。逆に、奥に広がる山野草の咲く渓流沿いの空間には、現代の人々が求めるナチュラルな美しさを感じてしまい、時間軸が逆のようにも思えてくるのです。  人が憧れ、感じる美しさ・快適さは時代を超えてつながっており、日本庭園技術の中に継承されていることを再認識させられます。 伏見稲荷大社の庭園は様々な風情を見せてくれ、これからの京都の財産として我々の時代を代表する庭園となっていくでしょう。 ※2 西芳寺庭園……現在見られる庭園は鎌倉初期の造営。池泉と枯山水から成っていた。

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