京の庭を訪ねて:庭園を通じて京都の「緑の文化」に触れてみませんか?

  1. HOME
  2.  > 都市緑化協会TOP
  3.  > 京の庭を訪ねて
  4.  > 北区  >  室町  >  枯山水
  5.  > 大仙院の庭園

大仙院の庭園  だいせんいん

庭の概要

所在地 京都市北区紫野大徳寺町
電話 075-491-8346
作庭年代 室町時代後期
作庭者 古岳宗亘
様式 枯山水
寺社の創建年代
文化財指定・登録状況 国の史跡・特別名勝
敷地面積 2,024㎡(文化財指定部分)
公開状況 公開(有料)

歴史・いわれ

大仙院の庭園の画像 本堂東側の枯山水を見る。深い渓谷から流れ出た水がやがて川となって広がる。

大仙院は、京都市街地の北、大徳寺の中にある塔頭寺院で、永正6年(1509年)に大徳寺第76世の大聖国師古岳宗亘(こがくそうこう)が開いた寺院です。数ある塔頭の中で、真珠庵、龍泉庵、龍源院とともに、大徳寺4派の一つ北派の本庵として栄えた寺院です。

 

枯山水の名園として広く知られている大仙院の庭園は、開山古岳和尚の作庭になる庭園であることが大仙院に伝わる文書から判ります。史料には古岳和尚の作庭の手腕が高く評価されていたことも記されており、作庭当時から名園の名が高かったことが想像されます。また、庭園が面する国宝の本堂(方丈)は永正10年(1513年)に建築されたもので、庭園と建築が一体となって作庭当時の姿を今に伝えている点でも大変貴重なものと言えます。

 

庭園は本堂の四方に展開しており、南側は玄関脇の白砂敷に二つの盛砂が並べられて大海を表し、西側はやはり白砂敷の上に数個の石と1本の樹木が植えられた簡素なものとなっています。しかし、本堂の東側に歩みを進めると、廊橋の手前、白砂敷の上に船の形に似た石などが据えられた見事な枯山水の庭が見えます。ここは大河を表し、石は「長船石」「釣船石」とも呼ばれています。

 

この廊橋を過ぎると、庭園の北東角に見事な大石で組まれた堂々たる滝石組が現われます。滝石組の前には、石橋が架けられ、また周囲にはツバキやゴヨウマツが植えられ、深山幽谷の風景を見せています。小さな敷地の中に山の水が川の流れとなって廊橋を隔てた大河へ、さらに南側の大海に流れ込む様子が象徴的に表現されています。

 

こうした枯山水庭園は、平安時代に編纂された作庭書である「作庭記(前栽秘抄)」にも記されており、京都でも古くから造られていたものと考えられますが、庭園を限界まで縮めた大仙院のような作庭が行なわれて枯山水の庭のあり方が定まったと考えられます。室町時代から江戸時代にかけて京都でも多くの枯山水庭園が造られましたが、大仙院の庭は枯山水の代表的な庭園として、江戸時代に発行された作庭書などにもその名が挙られてます。

見所・みどりの情報

大仙院の庭園の画像 廊橋の南側は、「長船石」「釣船石」が据えられ、大河を表す。

厳粛な雰囲気を感じさせる石組ですが、一方では青や赤といった鮮やかな色彩の石を用いて、暗さではなく晴れやかさを演出しているのも大きな特長で、今でも頻繁に石に水をまき、石組の見応えを感じさせるようにしているとのことです。

 

庭を廊橋などで区分して、山、川、海を表現するという枯山水の中でも独特の意匠をもつ大仙院の庭ですが、明治の末頃に「 亭橋」とも呼ばれていたこの廊橋が撤去されたことがありました。そのため、山と川がつながった状態になり、これが大仙院の庭のあり方であると紹介された時もありましたが、昭和35年(1960)に廊橋が復元され、名園本来の姿が取り戻されました。

 

このように、現在我々が想像する枯山水庭園の原形ともいえる大仙院の庭は、その歴史的価値の高さや、その造形意匠の素晴らしさから、名勝の中でも特に価値の高い特別名勝に指定されて、今に至るまで古岳和尚作庭の禅の思想をそのままに残しています。

手入れのポイント

大仙院の庭園の画像 大海をあらわす本堂(方丈)の南庭

この庭は、低木の刈り込みや、白砂の砂目を入れたりする日常的な手入れは、すべて当寺のご住職の手で行われています。白砂の照り返しなどで、樹木が弱りやすい面があるので、水やりも頻繁に行なわれているそうです。

 

高木は造園業者の方が年に数回手入れされていますが、樹木の姿が大きく変わったりしないように、ご住職立ち会いのもとで手入れされているそうです。

 

禅寺の庭であり、常緑樹が多いこともあるので、どの季節が特にいいということはないが、逆にいつでも開祖である大聖国師古岳宗亘の禅の心を感じ取ることができるので、季節を問わず見に来ていただければとのご住職のお言葉でした。

文化財の指定/関連の文化財

本堂(方丈)東側の枯山水の庭園は、大正13年(1924年)に大仙院書院庭園として、国の史跡・名勝に指定され、さらに昭和27年(1952)に特別名勝に指定されています。

 

本堂(方丈)を取り囲む庭園についても、昭和30年(1955年)に大仙院庭園として、国の名勝に指定されています。

ご注意

その他

庭と向き合いながら座禅のできる「週末座禅会」が毎週土・日曜日の夕方に開かれています(要予約、有料)。季節によって時間がかわりますので、参加希望の方は、大仙院に電話にてお尋ねください。

引用・参考文献・資料提供

【引用・参考文献】
・築山庭造伝前編、秋里籬島、1735
・大仙院石庭起し絵図、文政年間・1818~1830
・我樂多籠、高橋義雄、1914、箒文社
・日本庭園史圖鑑第三ノ下卷、重森三玲、1937、有光社
・京都名園記上、久垣秀治、1969(第2版)、誠文堂新光社
・日本庭園歴覧辞典、重森三玲、1974、東京堂出版
・日本庭園史大系第6巻室町の庭(2)、重森三玲・重森完途、1974、社会思想社
・日本史小百科19庭園、森蘊、1990(第3版)、近藤出版社
・京都・山城寺院神社大辞典、1997、平凡社
・庭園史をあるく-日本・ヨーロッパ編、武居二郎・尼崎博正、1998、昭和堂
・中根金作京都名庭百選、1999、淡交社
・中根金作による文化財保護業績、中根庭園研究所ホームページ

【取材協力および資料提供】
大仙院

周辺マップ

他サイト参考情報

見学のガイド

  京都観光Navi(大仙院)1

  京都観光Navi(大仙院)2

大仙院の概要と庭園の紹介ページ

  大仙院公式ホームページ

京の庭を訪ねて

庭園を通じて京都の緑や「緑の文化」に触れてみませんか?

広報誌「京のみどり」

広報誌「京のみどり」2023年冬 109号

2023年冬 109号
放置竹林を資源の循環にもどそう 新たな利用とネットワークで名産地の復活へ掲載中
  • みどりのウォーキングマップ
  • 新しい緑の世界へ、挑戦する人
  • 歴史を語る京の木
  • 緑化の取り組み、緑の応援団
  • らくらく園芸講座
  • 花とみどりの相談所
  • リンク集

ページ上部へ

Copyright (c) KYOTO CITY GREENERY ASSOCIATION
All Rights Reserved.