京の庭を訪ねて:庭園を通じて京都の「緑の文化」に触れてみませんか?

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法金剛院庭園  ほうこんごういん

庭の概要

所在地 京都市右京区花園扇野町
電話 075-461-9428
作庭年代 平安時代後期
作庭者 林賢、静意
様式 池泉式
寺社の創建年代
文化財指定・登録状況 国の特別名勝
敷地面積 約18,300㎡(文化財指定面積)
公開状況 公開(有料)

歴史・いわれ

法金剛院庭園の画像 池には寺の礼堂(らいどう)、仏殿や双ヶ丘の姿が映る

法金剛院は、JR花園駅の西、双ケ丘の東裾に位置する寺院で、その起源は平安時代の初め、時の右大臣であった清原夏野の山荘に遡ると伝えられています。

 

夏野の死後、山荘は寺に改められ双丘寺(そうきゅうじ、ならびがおかでら)あるいは天安寺と呼ばれましたが、10世紀の末に焼失してしましました。その150年ほど後に天安寺跡地に法金剛院が建立されます。

 

法金剛院を建立したのは鳥羽天皇の中宮であった待賢門院璋子で、卜占により建立の地を天安寺跡地に定めると、阿弥陀堂などの建物を建立するとともに、滝石組と流れを伴う大池を築き上げた、壮大な伽藍が築かれます。譲位して上皇となった鳥羽上皇を伴って待賢門院が落慶供養を行ったのは大治5年(1130年)のことです。

 

この時、作庭にたずさわり、大石を組んだ滝石組を作ったのは作庭の名手として名高かった林賢(りんけん)で、滝石組の出来栄えの素晴らしさは、人の手によるものとは思われないと絶賛され、そのことを名誉に思った林賢が歌を書き記したことが当時の日記等に残されています。

 

しかし、待賢門院はさらに「5、6尺」滝石組を高く築くように命じ、3年後の長承2年(1133年)、やはり作庭の名手として名高かった仁和寺の僧侶、徳大寺静意(じょうい)の手によってさらに高く組み直されました。

 

それからも、法金剛院には、上皇、天皇の行幸がしばしばあり、待賢門院の没後も、娘の上西門院によって境内を拡充され、その時の様子を描いた絵図が法金剛院に所蔵されており、多くの堂塔を備え、境内の北側に築かれた大滝「青女の滝」から流れ落ちた水が、松や梅などが岸辺に植えられた大池に流れ込む風景が描かれています。この絵図は寺伝にもとづいて後世に作成したもののようですが、近年の法金剛院近辺での発掘調査により、平安時代の様相を正確に描写していることが明らかとなっています。

 

しかし、上西門院没後は、天災・戦災により盛衰を繰り返し、やがて大池も埋まり、その出来栄えを絶賛された滝石組も土に埋まってしまいました。

 

ところが、昭和43年(1968年)に境内の発掘調査が行われ、上端部のみ顔を出していた滝石組が完全な姿で残っていたことが明らかになりました。そして昭和45年(1970)には滝石組や流れの復元とともに、池や植栽の整備が行われ、平安時代の面影を偲ばせる名園が復活することになりました。

見所・みどりの情報

法金剛院庭園の画像 五位山を背後に広がる池庭

「青女の滝」の石組は、背丈ほどもある大石が2段に組まれた立派なもので、作庭の経緯から、下の段を林賢が組み、静意がさらにもう一段積み上げたものと思われますが、上下2段の間に違和感は全くありません。こうした巨石ともいえる大石を用いた滝石組は平安時代特有のものといってもよく、当時の作庭技術の水準の高さを窺わせるとともに、林賢と静意という、当代随一の作庭家により作庭されたことがわかる貴重な作例となっています。

 

今では、滝石組や池の周囲にモミジやアカマツ、サクラ、ツバキ、アジサイ、センリョウなどが植えられ、また、池にはハナショウブやハスが植えられるなど、四季を通じて花や新緑、紅葉などを楽しむことのできる清閑な雰囲気を漂わせています。中でもサクラは待賢門院ゆかりの品種が植えられ、ハスも伝統的な品種が植えられるなど、平安時代の情景を思い起こさせるような、清閑な雰囲気の庭となっています。

手入れのポイント

法金剛院庭園の画像 林賢は「衣もてなつれとつきぬいしのうへによろつよをへよたきのしらいと」と詠んで、「青女の滝」が永遠に残ることを祈願しました。

そうはいっても日常の維持管理には手間がかかり、ハスは初春から池に植え替えるまでの鉢植えの時分には欠かさずに水やりをしたり、枝が茂って庭全体が暗い雰囲気とならないよう、造園業者の方に剪定をしてもらっているものの、生き物相手のことなので、景観が少しずつ変わっていくのが当然でもあり、少し残念でもあるとのご住職のお話でした。

文化財の指定/関連の文化財

「青女の滝」と背後の五位山などを含めて、昭和46年(1971)に「法金剛院青女滝附五位山」として、国の特別名勝に指定されています。

引用・参考文献・資料提供

【引用・参考文献】
・日本庭園史大系第2巻飛鳥・奈良・平安の庭、重森三玲・重森完途、1974、社会思想社
・日本庭園歴覧辞典、重森三玲、1974、東京堂出版
・日本庭園史話、森蘊、1981、日本放送出版協会
・日本史小百科19庭園、森蘊、1984、近藤出版社
・京都市文化材ブックス第5集遺跡に見る平安時代の庭園、1990、京都市文化観光局文化部文化財保護課
・京の古寺から9法金剛院、川井戒本ほか、1995、淡交社
・京都・山城寺院神社大辞典、1997、平凡社
・中根金作京都名庭百選、1999、淡交社
・京都市埋蔵文化財研究所発掘調査概報2004-08平安京右京一条四坊十三町跡、2004、財団法人京都市埋蔵文化財研究所

【取材協力および資料提供】
法金剛院

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