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みどりの相談所だより Q&A

Q21~Q30 回答:太田周作 相談員

Q21. 春から初夏にかけて咲くポピーの花を見ていつも楽しんでいますが、どうしてもポピーとアイスランドポピーの区別がつきません。わかりやすい見分け方を教えてください。
 ポピーの類は、ケシ科ケシ属(パパウェル(パパヴェル)属)に分類され、約60種が知られていますが、アヘン成分を含むものと含まないものがあり、もちろん、アヘン成分を含むものの栽培は禁止されています。
 観賞用として栽培の多い種類は、ご質問のポピー(ヒナゲシ)とアイスランドポピー(シベリアヒナゲシ)の2種、及びオリエンタルポピー(オニゲシ)の計3種です。ただしオリエンタルポピーは多年草で、暖地では夏越しが難しいため、関西地方での栽培はあまりありません。
 ポピーは学名を「パパウェル・ロエアス」といい、ヨーロッパ中部の原産で、コムギ畑の雑草になるため、コーンポピーや、フィールドポピーとも呼ばれています。また和名はヒナゲシの他にグビジンソウの名も使われます。秋まきの一年草で、花期は5〜6月です。茎が上に伸びて50cm位になり、枝分かれして花をつけます。花壇や切花に使いますが、花壇の方に多く利用されます。
 アイスランドポピーは学名を「パパウェル・ヌディカウレ」といい、北半球の極地周辺が原産の多年草ですが、園芸上は春播(ま)きの一年草として扱います。花は通常3〜5月に咲くものの、暖地で種を早く播いて育てれば1〜2月でも花をつけます。株元から50cm位の花柄を伸ばして先に一輪の花をつけます。1株からいくつもの花柄が出るため、切花として扱いやすく、主に切花栽培されています。
 この2種の最もわかりやすい見分け方は、ポピーの方は葉のついた茎を伸ばし、枝分かれして花をつけますが、アイスランドポピーは、株元より一本ずつ花柄を伸ばし、一輪ずつ花をつけることです。その他に、花色がポピーは鮮やかな色のものが主で、アイスランドポピーは色あいが淡いものがほとんどです。また、ポピーの葉は浅緑色で毛があり、アイスランドポピーの葉は白っぽい緑色で毛がなく光沢があるなど違いがあります。
 なお、カリフォルニアポピー(ハナビシソウ)と、ヒマラヤの青いケシ(メコノプシス)は、ケシ科ではありますが、ケシ属ではなく別の属に分類されています。
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    ポピー'ピエロ'
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    ポピーの花壇(5月撮影)
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    アイスランドポピー
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    アイスランドポピーの花壇(3月撮影)
Q22. ジンチョウゲの葉に黒い斑点がついていますが、そのままにしておいても元に戻るでしょうか。

ジンチョウゲの木が昨年の春頃から元気がなくなり、夏からは葉が黄色くなって次々と落ちています。よく見ると葉に黒い斑点がついていますが、年末には花芽が着きました。そのままにしておいても元に戻るでしょうか。

 ジンチョウゲはジンチョウゲ科の常緑低木で、中国の原産です。日本には室町時代に渡来しました。早春に香りよい花をつけるため、広く親しまれ、庭木や鉢植えなどに利用されています。
 ジンチョウゲは雌雄異株なので、雌株と雄株がありますが、日本に植えられているものは、ほとんどが雄株です。そのため実がならず、さし木で繁殖します。
 時折、勘違いする方がいて、「うちの○○○は、雄株のため花が咲かない」といっているのを開くことがありますが、一般に、雌雄異株の植物は、雌株よりも雄株の方がずっと数多く花をつけます。また種を播(ま)いて育てた場合は、雌株よりも雄株の方が1〜2年早く花が咲きます。もちろん雄花だけなので種子は稔りません。このような理由から、さし木などの栄養繁殖が簡単で、実をならす必要のない花木のうち、雌雄異株のものは、雄株ばかりが普及することになってしまうのです。ジンチョウゲやキンモクセイがそのよい例です。
 ご質問の件ですが、この状態は、ジンチョウゲにとって最もやっかいな黒点病の症状です。黒点病は葉、葉柄、若い枝に発生し、春から秋までの生育期に次々と感染をくり返します。病斑は径1〜3mm大で黒く、多い場合は一つの葉に数百もつくことがあります。被害葉は順次落ちてゆき、ひどくなると丸裸となって株全体が枯れてしまいます。一たん発生すると根絶は難しく、葉剤の効果もあまりありません。伝染を防ぐため、残念ながら被害株は直ちに掘り取るとともに、落葉は集めて、焼却してください。
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    ジンチョウゲの花
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    シロバナジンチョウゲの花
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    斑(ふ)入りジンチョウゲの開花
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    黒点病で葉が落ちたジンチョウゲの株(2月撮影)
Q23. クリスマスローズの花を切らずに置いておくと、こぼれ種が芽生えて苗が沢山できると聞きました。親株はどんな場所に植えればよいでしょうか?
 日本ではキンポウゲ科、ヘレボルス(Helleborus 、以下H.)属のすべての種をクリスマスローズと呼んでいますが、本来のクリスマスローズは、H.ニゲルをいいます。また、日本でクリスマスローズと呼び栽培されているものの中で最も多い種(しゅ)は、春咲きのH.オリエンタリスの系統です。そのため、以下にクリスマスローズと記した場合は、H.オリエンタリス系に限ることにします。
 クリスマスローズの植え付け場所は、適当な水分を持った排水のよい肥沃な土地がよく、また、5〜10月の間は通風のよい日陰を好み、夏の乾燥及び強い日差しと高湿は株を弱らせます。庭植えの場合、落葉高木の樹冠の下などはこれらの条件が整っていることが多く、こぼれ種の発芽にも適しています。
 クリスマスローズの種子は6月頃に莢(さや)の中で熟すため、通常の実生(みしょう)栽培では、莢から弾ける前に採種し、土中などで保存した後、10月に播種します。
しかし、こぼれ種栽培では種子を採らずに自然に弾けるのを待ちます。落ちた種子は、12月〜1月の最も寒い時期に発芽しますが、これは低温発芽性を有しているからです。落葉樹下では、この時期、落葉が適度に溜まり、湿気もあって、霜などが直接当たることもなく発芽には理想的です。発芽後は適度な施肥、乾燥時の灌水、及び親株の枯葉の除去などをして管理します。夏は水管理を十分に行いますが、半休眠状態を保ちます。苗はそのままの状態で育てる方法もありますが、10月に入ったら、別の場所や鉢などに移植すれば枯死率は低くなります。その後は十分な管理を行い、順調に育てれば発芽して2〜3年目には追い追いと初花を見ることができます。
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  • 写真:こぼれ種からの発芽苗(前年1月発芽と本年1月発芽の混合)(本年3月撮影)
    こぼれ種からの発芽苗(前年1月発芽と本年1月発芽の混合)(本年3月撮影)
  • 写真:開花とこぼれ種からの発芽苗(本年=2009年3月撮影)
    開花とこぼれ種からの発芽苗(本年=2009年3月撮影)
Q24. チャワンバスの花付きを昨年買いましたが、容器が小さいため今年は植え替えようと思います。時期と方法を教えてください。
 チャワンバスは花バスの中では最も小型の品種群に入ります。小さい容器で栽培しても紅色の八重咲きの花をつけるため、園芸店などでは最も流通している品種で、洗面器などに植えられ売られています。
 チャワンバスに限らず、ハスの植え付けはまだ葉が出ていない3〜4月が最も適しています。植え付けてある容器から土ごと蓮根を取り出し、よく肥大した蓮根の先端を3〜4節で切り取り植え付けますが、芽を折らないよう気をつけてください。チャワンバスの場合、蓮根の大きさは、成人男性の親指程あれば花をつけます。ただ、洗面器などで販売されているものは、大きい容器で育てておき、開花可能の蓮根を選んで植え付けてあるため、その年は花が咲きますが、花の終わった後、新しい蓮根が大きくならずに、翌年には花が咲かなくなることが往々にしてあります。  毎年、花を咲かす方法の例として、以下に梅小路公園での方法をお伝えします。
 蓮根は伸びながら潜っていくため、10号の深型駄温鉢を用意し、土を七分目位入れて、蓮根を互い違いに2本、横に並べて置き、鉢一杯まで覆土をします。土はあまり選ばず、草花栽培後の古土も使えます。次に、鉢より1〜2周り大きい容器に、植え付けた鉢を入れ水を張りますが鉢の上端が10cmほど沈むようにします。葉が出だしたら3要素(チッソ、リン酸、カリ)のそろった化成肥料を適量、容器に投入し、その後も花が終わる頃まで、月1回の割合で施します。容器は日当たりのよい場所に置き、水は減った分を注ぎ足します。11月になると、鉢を容器から出して冬中、外に置きますが、乾燥を避けるため水かけは行います 。そして3〜4月になったら植え替えなどを同じように繰り返せば、毎年花を見ることができます。ぜひ試してみてください。
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  • 写真:チャワンバスの開花
    チャワンバスの開花。10号駄温鉢に植え付け、プラスチック製の樽の中に沈めてある
  • 写真:チャワンバスの花
    チャワンバスの花
Q25. マーガレットの花が大好きで育てています。園芸の本では多年草となっているので、大株に作りたいのですが、毎回2〜3年で枯らしてしまいます。どうしてですか?
 マーガレットはキク科の常緑多年草で、茎の基部は木質化します。大型で草丈は60〜100cm位になり、また、葉張りも草丈に近い大きさになります。原産地は、大西洋上のアフリカ北西部寄りに位置するカナリア諸島で、海浜に自生しているそうです。カナリア諸島の気候は地中海型で、夏の高温時に雨が少ないのが特徴です。そのため、この気候帯の植物を、夏に雨の多い日本で栽培すると、夏越しが難しく、弱ったり枯れたりすることが多いものです。夏の暑さで弱ったように思われがちですが、暑さだけなら大丈夫で、これらの植物は、高温と多湿とが重なる環境が苦手なのです。逆に雨の多い日本でのマーガレットの生長は春と秋には著しいものがあります。また、マーガレットは冬の寒さも苦手としますが、関西地方の市街地では、十分屋外で越冬しています。
 マーガレットは通常、春の開花後にさし芽をして繁殖します。発根した苗は日本の夏を越すわけですが、条件が悪くなければ、若い株の夏越しは難しくありません。夏〜冬を越すと、翌春の3〜5月が花期となります。花が咲き終わった株は、花がらとともに、頂芽を切り戻し、枝透しをして通風をよくし、2夏目を迎えるのですが、2夏目も枯れる株は少なく、残る株の方が多いものです。しかし次の冬を越し、花をつけた後の3度目の夏には、株の老化が進み、ほとんどの株は枯れてしまいます。ただし、高床花壇に植えられたものや、軒の下などに置いてある鉢植えのものは、水はけや通風が良く、また雨に当たらないなどの環境にあるため5〜6年も残ることがあります。
 ともあれ、マーガレットを作り続けるには、毎年、花が終わった後にさし芽更新をして、若い苗を作っておくことです。2夏を越した3年目は十分大株に育ちますので、さし芽更新が最も無難な方法だと思います。
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  • 写真:色大輪八重咲きの品種
    白色大輪八重咲きの品種
  • 写真:桃色中輪八重咲きの品種
    桃色中輪八重咲きの品種
Q26. 「ルッセリア」又は「バクチクソウ」という名の鉢花を購入しました。店の人からは「丈夫な花で作りやすい」と聞きましたが初めてなので不安です。栽培方法を教えてください。
 「ルッセリア」という名で流通している植物は、ゴマノハグサ科の小低木で、メキシコ原産です。正確な学名は「ルッセリア・エキセティフォルミス」といい、和名を「ハナチョウジ(花丁子)」といいます。「バクチクソウ」という和名はありませんが、中国名で「爆仗竹」というため、誤ってそう呼んでいるのでしょう。
 ルッセリアの茎は50〜120cmの高さになり、弓状になってしだれます。その枝の先に細い筒状の花を多数つけ、見事です。また葉は退化して小さく、若い茎にのみ残り、早ばやと落ちてしまいます。性質は丈夫で、日当たりを好み、乾燥にも耐えることができます。そのため、大型のハンギングバスケットに植えこむ材料としては、最適のものです。沖縄県などの亜熱帯域では、道路緑化にも利用され、多数植栽されています。
 花の色は橙赤色のものが一般的ですが、他にも白とピンクがあります。温室や熱帯地方では周年にわたって開花しますが、温帯域の関西地方での開花期は5〜11月です。
 関西地方の市街地では屋外でもどうにか越冬できますが、枝がかなり枯れこみます。そのため、軒下などに置いて、霜や寒風が直接当たらないように保護する必要があります。
 繁殖はさし木が簡単で、5月から9月までの間に行えば、葉のように見える小さい枝でも容易に発根します。また、しだれた枝が地面などに接したら、そこからすぐに根を出す習性がありますので、切り取って繁殖するにはよいものの、そのまま置くと、花色の異なる品種が交じってしまう原因にもなりますので、注意してください。
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  • 写真:ルッセリア ピンクの花
    ルッセリア ピンクの花
  • 写真:ルッセリア 白花
    ルッセリア 白花
  • 写真:ハンギングポットに植えたルッセリア
    ハンギングポットに植えたルッセリア
Q27. <チーゼル> 梅小路公園内で、大型の変わった植物を初めて見ました。実の形は面白いものの、花はきれいではないので、鑑賞用の草花だとは思えません。名前と用途を教えてください。
 この植物は学名を「ディプサクム・サティウス」、和名を「ラシャカキグサ」、英名を「フラーズチーゼル」と言いますが、近縁の他の一種と合わせて、一般的に「チーゼル」で通用しています。
 チーゼルはマツムシソウ科の2年草で、通常4月に種を播くと、翌年の6〜7月に花をつけ、果穂(実)が乾燥する9〜10月には株全体が枯れてしまいます。しかし、なかには翌年では花をつけずに2度目の冬を越して巨大化し、3年目に花をつける株もあります。いずれにしろ花を咲かせた株は枯れてしまうので、多年草ではありません。草丈は1〜2mが普通ですが、3年目に花をつけた株は2.5m近くにもなります。
 チーゼルの原産地は、ヨーロッパ、北アフリカ、中東にかけてですが、ヨーロッパなどでは古い時代から栽培されてきました。それは、長さ10〜15cmになるこの植物の円筒状の頭状花序の先端が鉤(かぎ)状に曲っているのを利用して、乾燥して硬化した果穂を、織物の起毛材として使ったからです。和名の由来もこの理由からで「羅紗掻き草」だという訳です。
今では金属性などの人工物に代わっているため、ほとんど起毛用に使うことはありませんが、まれに刺繍(ししゅう)の趣味家の利用を目にすることがあります。
 現在、チーゼルの用途として最も多いのは果穂をドライフラワーに用いることで、様々に着色されたものなどが現代風の生け花材料として広く流通しています。
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  • 写真:チーゼル(高さ約2.5m)
    チーゼル(高さ約2.5m)
  • 写真:チーゼルの果穂と花(長さ約15cm)
    チーゼルの果穂と花(長さ約15cm)
Q28. ウォーターポピーの花が好きで、庭の小さな池で栽培していますが、毎年冬を越すことができずに枯らしてしまいます。冬越しの良い方法を教えてください。
 ウォーターポピーはブラジルやベネズエラ原産の多年性の水生植物で、日本には昭和初期に観賞用として導入されました。学名は「ヒドロクレイス・ニンフォイデス」といい、和名は英名を直訳し、「ミズヒナゲシ」といいます。花の形と大きさがヒナゲシに似ているためにこのように命名されているのですが、分類上、両者は遠くかけ離れています。ヒナゲシが双子葉植物のケシ科なのに対して、ウォーターポピーは単子葉植物で、ハナイ科、もしくはキバナオモダカ科に分類されています。
 ウォーターポピーは、花径5cmほどの美しい鮮黄色の3弁花を咲かせますが、花の寿命は1日だけのデイフラワーです。根茎は泥の中にひげ根を下ろし、次々と先へ伸びてつる状になり水面を這います。また、根茎から長さ4〜8cmのハート型の葉を出して水に浮きます。花期は関西地方の場合、6〜10月で、水の温かさと日当りを好みますが土は特に選びません。原産地が熱帯のため、冬の寒さは苦手なものの、関西地方の市街地では次のような簡単な方法により屋外での越冬が可能です。
 まず8月までに8〜10号鉢を使って株を植え込み、鉢ごと容器に入れ水深を10cmくらいに保って花を楽しみます。11月中旬になったら、外側の容器から植えている鉢の上端までの水深を30cm以上にして株を沈めます。これを軒下などに4月まで置けば良いのです。結氷する日でも近年は厚い氷は張りませんので、これで十分です。梅小路公園では6年間続けてこの方法で越冬しています。ぜひお試しください。
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  • 写真:ウォーターポピーの花(花径約5cm)
    ウォーターポピーの花(花径約5cm)
  • 写真:ウォーターポピーの容器栽培 10号鉢に植えて、沈める(水深約10cm)
    ウォーターポピーの容器栽培 10号鉢に植えて、沈める(水深約10cm)
Q29. <トゲチシャ> 数年前から、道路の側や空き地に生えている雑草ですが、今年は特に沢山目立ちます。見ようによっては面白い植物なので、名前と、どこから来たのかを教えてください。
 この植物はキク科の1〜2年草で、ヨーロッパの原産ですが、今ではほぼ全世界で見られるようです。学名を「ラクツカ・スカリオラ」といい、和名は「トゲチシャ」又は「アレチヂシャ」とつけられています。日本では1949年に初めて北海道で採集されましたが、現在は日本全域に広がっています。市街地や草地に多く、農耕地にはあまり侵入しないようですが、ご質問にあるように、関西地方では道路の緑地帯や街路樹の植樹帯などに群生しています。茎は直立し、葉は無柄で基部は耳状に茎を抱いて、ねじれて垂直につき、葉身は羽状に深く切れ込むため、確かに形は面白いかもしれませんが、茎や葉に固い刺(とげ)があるので取扱いはやっかいです。なお、葉に切れ込みのない変種も帰化していて、「マルバトゲチシャ」という和名がつけられています。
 「1〜2年草」という語彙の説明をしますと、個体により、1年草になったり、2年草になったりする、という意味です。まず1年草とは、1年(365日)以内に「発芽・生長・開花・結実・枯死」するものをいいますが、2年草とは、以上の過程を1年以上2年以内に行うものを指します。トゲチシャの場合、早く発芽したり、生長が速いものは1年草となり、遅く発芽したり生長の遅れたものは2年草になります。園芸書などで「1・2年草」という記述がよく使われますが、これは1年草と2年草を合わせてまとめたもので、意味はまったく異なります。
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  • 写真:トゲチシャの開花株
    トゲチシャの開花株
  • 写真:トゲチシャの未開花株
    トゲチシャの未開花株
  • 写真:トゲチシャの開花状態
    トゲチシャの開花状態
Q30. ハスとスイレンをよく混同してしまうので、分かりやすい見分け方をお願いします。
 ハスはハス科ハス属(ネルンボ)の水生植物で、日本や中国、インドなどアジアを中心に分布する東洋種(ネルンボ・ヌキフェラ)と、主に北アメリカを中心に分布するアメリカ種(ネルンボ・ペンタペタラ)の2種があります。東洋種の花色が紅や白であるのに比べ、アメリカ種は黄色のため、キバナハスとも呼ばれていますが、この両種は交配することができ、現在、黄紅や黄白の交配品種が生まれています。
 一方、スイレンはスイレン科、スイレン属(ニンフェア)の植物で、約40の種がありますが、熱帯スイレンと温帯(耐寒性)スイレンに二大別できます。この2群は耐寒力だけではなく、形状も一部異なります。
 以上をふまえた上でハスとスイレンの違いについて、以下に特徴を列挙してみます。

ハス スイレン
水面から高い位置に咲く。全体に丸みを帯びた花弁を持つ。中央に花托(蜂の巣)があり、花が終わると花弁は散り、花托が残る。 全体に細身の花弁を持つ。温帯種は水面か水面近くに咲くが、熱帯種は水面から花茎を伸ばして咲く。花が終わると水に沈む。
水面から立ち上っている。茎の表面に刺(とげ)状の毛があり、ざらざらしている。 大部分は水中にある。茎の表面はつるつるしたものと毛のあるものがある。
葉は楯形で切れ込みはなく、水面から立ち上る。葉は大きく光沢はないが、水をはじく。 葉は蹄形のため大きな切れ込みがある。ほとんど浮葉で表面に光沢があるが水をはじかない。
生長が速く、ぐんぐん伸びる。秋になると地下茎の先端が肥大し、蓮根になる。 温帯種――ワサビ状の塊根で少しずつ伸び、新芽を出す。
熱帯種――球状の球根で、小球ができ増える。

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  • 写真:ハスの開花状態(東洋種)
    ハスの開花状態(東洋種)
  • 写真:キバナハス(アメリカ種)
    キバナハス(アメリカ種)
  • 写真:熱帯スイレン'コロラータ'
    熱帯スイレン'コロラータ'
  • 写真:温帯(耐寒性)スイレン'マリアセアカワセ'
    温帯(耐寒性)スイレン'マリアセアカワセ'

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