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みどりの相談所だより Q&A

Q11~Q20 回答:太田周作 相談員

Q11. アジサイを一枝もらってさし木をしたところ3年目にやっと花が咲きましたが、色は赤ではなく、青っぽいくすくんだピンクです。どうしてでしょうか。

友人が栽培している赤い花のアジサイを一枝もらってさし木をしたところ3年目にやっと花が咲きました。しかし、色は赤ではなく、青っぽいくすくんだピンクです。どうしてでしょうか。

 アジサイは土の酸度によって花の色が変わります。通常、酸性の土なら青く、アルカリ性の土なら赤くなります。ただし、各品種により感受性に差があり、反応の鈍いものもあります。また、アジサイの品種は紫、青、ピンク、赤、白など、花の色が決っています。そのため、青系の品種は酸性の土、赤系の品種にはアルカリ性の土で植えると色が鮮やかに出ます。これと逆の土を使うと、ボケたような中間色になります。なお純白の花のものは、どちらでも色は変わりません。
 本来アジサイは、弱酸性の土を好みますし、基本種は青色です。また、日本では、庭や鉢植えなどを問わず、土をそのままにしておくと酸性に傾いてゆきます。そのため、青系の品種はあまり問題は起きませんが、赤系の花は色が青っぽくなってきます。
そんな株は、翌年に花芽が出始めた頃に、消石灰を水に溶き、土に灌注(かんちゅう。そそぎかけること)します。その後は一週間おきくらいに、2度ほど行えば十分です。逆に青の品種の色が淡くなったようなときは、ミョウバンの水溶液を灌注します。未調整のピートモスでマルチング(土を覆うこと)しても効果があります。まれに感受性の強い同一品種を青と赤に別々に発色させていることもありますが、現状の色を保たせるなら対処方法は同じです。
<写真> アジサイの色
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    土が酸性になったため、青に変色したハイドランジア(西洋アジサイ)の赤花品種
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    ベニガクアジサイは酸性土でも青くならない
Q12. バラ作りの先輩から「夏の花は咲かせない方がよい」と忠告を受けました。もったいなくて摘みそびれていますが、どうして咲かせてはいけないのでしょうか。

庭でバラを育て始めてから3年になります。次々と花が咲いて楽しんでいたところ、バラ作りの先輩から「夏の花は咲かせない方がよい」と忠告を受けました。もったいなくて摘みそびれていますが、どうして咲かせてはいけないのでしょうか。

 一般に四季咲きバラと呼ばれている品種群は、モダンローズの代表的なもので、ハイブリッド・ティという系統です。晩春から咲き始め、花盛りを迎えた後も、枝が伸びるたびにつぼみをつけ、秋にまた花盛りになります。四季咲きとはいうものの、冬は葉を落とし生長はしませんので、温室で加温しない限り花は咲きません。
 御質問の「夏の花は咲かせないように」とのアドバイスは正しいと思います。日本では、梅雨に入ると雨が降り続き、また、梅雨明けには高温となって、夏の冷涼と乾燥を好むバラにとっては過酷な環境となり、衰弱して、病害虫に対する抵抗力が落ちてきます。その上に、花を咲かせるための養分を使うと、ますます衰弱が進みます。秋にもう一度花盛りを期待しても、十分に花を咲かせることができなくなってしまいます。また、夏に咲く花は小さく、色もあせて、本来の花の姿と比べ、見すぼらしいものです。
 このような理由で、夏に出るバラのつぼみは摘み取る方が無難です。また、夏季剪定といって、込みあった枝や伸び過ぎた枝、病気に侵された枝などを剪定しておくと、秋には期待どおりの花盛りを迎えることができるはずです。
<写真> 夏の四季咲きバラ
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    クライミングローズ(品種名カクテール)
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    シュラブローズ(品種名不詳)
Q13. ナス、キュウリ、トマトの苗を買ってきて植えていますが、どれもよく育っています。しかし、いくら待っても花や実をつけません。どうしてでしょうか。

今年から庭で野菜作りを始めました。ナス、キュウリ、トマトの苗を買ってきて植えていますが、どれもよく育って、葉は大きくなり、色もクログロとしています。しかし、いくら待っても花や実をつけません。どうしてでしょうか。

 これは明らかにチッ素過多です。おそらく元肥(もとごえ)にチッ素が多量に含まれていたせいだと考えられます。
 以前から、経験上、チッ素(N)は葉ごえ、リン酸(P)は実ごえ、カリ(K)は根ごえといわれてきました。チッ素は葉緑素を作り、植物体を生長させます。リン酸は花や実を着けさせる働きがあり、カリは根張りをよくし、茎や葉を堅固にさせます。
 そのため、生長が最も優先される苗の期間は、チッ素が多めの肥料でよいのですが、実を食べる野菜(果菜)は、ある程度のところで、チッ素を少なくし、リン酸やカリの多い肥料を与えなければ、実は、成らないか少なくなります。また、チッ素が多いと、茎や葉が伸びすぎ、組織が柔らかくなって、病害虫に侵されたり、根元がグラグラして倒れやすくなります。
 一方、葉を食べる野菜(葉菜)の場合は、チッ素をやや多めに施すと、葉の緑も鮮やかで口当たりも柔らかくなります。
一口に野菜といっても、どの部分を食用にするかで、肥料成分の与え方が異なってきます。最近の家庭菜園では、台所クズで作った堆肥や油カスなどの有機肥料が多く使われていますが、これらはチッ素成分が多いため、大量に施すといつまでも土の中に残留しますので、注意してください。
<写真> 適切な開花・結実を始めた野菜
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    ナス(高さ約60cm)
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    ミニトマト(高さ約100cm)
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    キュウリ(高さ約80cm)
Q14. サルスベリの葉がうどんこ病になったため、5月に小枝を全部切り落としました。今年は花が咲くでしょうか?
 サルスベリはミソハギ科の落葉樹で中国の原産です。赤や紅、白、桃、紫紅色などの花色があり、7月から10月頃までの長きにわたり、次々と花を着けるためにヒャクジッコウ(百日紅)という異名もあります。
 通常、落葉性の花木は、冬の寒さに会うことにより、休眠が破れ、暖かくなるとともに開花するものがほとんどです。しかし、サルスベリやムクゲ、フヨウなど、もともと熱帯に起源をもつ花木は春に出た芽が枝(当年枝という)になり、その枝に花をつけます。そのため開花期は春ではなく、夏から秋となります。
 また、これらの樹木の他の特徴としては、春の芽吹きが一般の落葉樹と比べて遅いこともあげられます。
 うどんこ病はサルスベリの代表的な病害で、葉や若い茎が白色のカビで覆われ見苦しいものです。春に発生し、夏には少し淡くなりますが秋に再び目立ってきます。
 ウドンコ病専用の殺菌剤がありますが、前年の病葉を早めに除去したり、ご質問のように病気のついた茎葉を剪定することにより、予防したり伝染を防いだりします。5月に小枝を全部切り落としたとのことですが、サルスベリは前記のように当年枝に花をつけます。そのため、剪定しなかったものよりもかなり開花は遅くなりますが、花を見ることはできます。ただし梅雨明け以降に剪定すると、花は咲きません。
<写真>
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    つぼみのうどん粉病
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    葉のうどんこ病
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    サルスベリ(赤花)
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    サルスベリ(白花)
Q15. お中元でコチョウランの寄せ植えをいただきました。花が咲き終わったので、花の茎を切りとりましたが、他にはどのような管理をすればよいでしょうか。
 ラン科のコチョウラン属(ファレノプシス属)には原種が50種あって、ヒマラヤ、インドネシア、オーストラリア北部、フィリピン、台湾に分布しています。しかし一般的にコチョウランと呼ばれている園芸種は白花の「ファレノプシス・アマビリス」と桃色花の「ファレノプシス・シレリアナ」を基本とし、それに花の色の異なる他の種や花型の優れた品種などをつぎつぎと交配して、さまざまな色の花や、花の大きい品種などを育種したものです。またこの2系統以外にミニコチョウランと呼ばれている小型のものもありますが、これはファレノプシス属と近縁のドリティス属との属間交配のドリティノプシス属のものがほとんどです。
 かつてコチョウランは繁殖が難しかったため、高価でしたが、今では組織培養で苗が大量生産されるようになったので手頃となり、広く流通しています。またギフト用としては寄せ植えが多く利用されています。
 コチョウランは熱帯植物で、しかも、地面に生える地生ランではなく樹上や岩上に着生する着生ランです。そのため葉も多肉質で乾燥に強く、根は空気に触れるのを好みます。生産者は、温室で、鉢やビニールポットに通気・通水のよい水苔やバークを用い1株づつ植えて育てます。寄せ植えにされているものは飾り鉢に花の咲いた前記の数株をポットのまま入れ、パッキンを入れて寄せ株とし、上面を水苔などで覆っているだけです。以上のことからまず1ポットづつバラバラにした後ポットから抜き、植え込み材料を全部除いて、腐った根や折れた根をきりとり、新しい水苔をていねいに根の間に入れ、さらに水苔で全体をくるんで軽石などの底土を多めに入れた鉢に植えつけます。植えかえた株は、できれば屋外の日陰に置き、4〜5日に1回たっぷりと水をかけます。新しい葉と根が伸びだしたら薄い液肥を与えてください。10月初めには屋内に入れますが、最低温度が10℃以上であって、しかも窓ぎわなどのできるだけ明るい場所を選んでください。そこで、4月末頃まで、10日に1度位の割合で水をやりながら育てます。
 ご質問の件ですが、お歳暮でいただいたのではなく、お中元でよかったですね。年末の場合、見た目は元気そうでも流通過程で寒害をうけているものがあります。このような株は、じょじょに症状が現れ、いくら養生してもやがて枯れてしまうことになります。
<写真>
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    ミニコチョウラン
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    ギフト用にラッピングされたコチョウランの寄せ植え
Q16. アブチロンの背丈が1m位に大きくなり、毎年春と秋にたくさんの花が咲くのを楽しんでいましたが、夏になって急に葉がしおれ、枯れてしまいました。どうしてでしょうか。
 アブチロンと呼ばれる植物は、アオイ科アブチロン属に含まれる種(しゅ)の全体を指し、世界の熱帯と亜熱帯におよそ100種が分布しています。低木や多年草がほとんどですが、一年草もまれにあります。ただし園芸植物として栽培され、流通しているものは少なく、二つの原種とその園芸品種、またこれらを交雑させて作りだした品種群がほとんどです。
 原種の一つはウキツリボク(学名:アブチロン・メガポタニクム、流通名:チロリアンランプ)で、ブラジル原産の半つる性常緑小低木です。もう一つはショウジョウカ(学名:アブチロン・ストリアツム)といい、熱帯アメリカ原産の小低木で、つる状にならず、茎は直立します。また、交雑種には、半つる性のものと直立するものの両方があるため、栽培上、上記のものをすべてひっくるめ、半つる性型と直立型に二大別することができます。
 アブチロンは熱帯地方の原産ですが、寒さには強く、関西地方の市街地では十分屋外で越冬します。軒下などのように霜や寒風が防げる場所なら寒さによる傷みも少なく、葉が落ちる程度です。その反面、盛夏になると立枯病がよく発生します。半つる性型よりも、直立型の方がかかりやすいようで、予防するには、水はけのよい土で植え、梅雨入り前に施肥を止めます。また盛夏には鉢の表面や側面に直射日光が当らないように工夫すれば予防効果があります。
 いずれにしても、アブチロンは元々寿命の長い木ではないので、あらかじめさし木をして苗を用意しておく方が無難です。5〜10月の間ならさし木は簡単です。立枯病になって、葉がしおれだしたものでも、すぐにさし木をすればほとんど活着します。
<写真>
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    アブチロン'サクラ'(直立性)
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    アブチロン'スウィング・ベル'(半つる性)
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    アブチロン'ベラ'(直立性)
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    アブチロン'ホワイト・キング'(直立性)
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    アブチロン'姫りんご'(直立性)
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    学名アブチロン・メガポタニクム(半つる性)
Q17. ところどころにピンクや白っぽいヒガンバナを見かけるようになりました。病気のように見えますが、何か理由があるのでしょうか?

以前から秋になると田舎にハイキングに行き、棚田などの風情を楽しんでいます。特に田圃の土手に咲き揃ったヒガンバナは見事としかいいようがありません。ところが、いつの頃からか、ところどころにピンクのヒガンバナや白っぽいヒガンバナを見かけるようになりました。病気のように見えますが、何か理由があるのでしょうか?

  ヒガンバナは学名を「リコリス・ラディアタ」といい、ヒガンバナ科の球根植物です。日本のものはすべて種子を結ばない3倍体のため、大昔に中国から渡来した史前帰化植物だと考えられています。
 かつてはいたるところにあり、また墓地などで、葉を着けずに突然花茎を伸ばして花を咲かすため、あまりいいイメージは持ちませんでした。しかし、もともと自生しないアメリカなどでは珍しがられ、地面から突如花を伸ばす姿から、マジックリリーとか、ジャンピングリリーと呼んで栽培する人が多く、日本から明治時代に大量の球根が輸出された記録もあります。近年、日本でも郊外の開発が進んだため激減し、田園地帯へでも出かけないとほとんど見かけなくなりました。そのせいもあってか、改めて美しさが見直され、公園や道路周辺などに新たに植えつけられています。
 御質問の件ですが、下の写真では、ヒガンバナの周辺の大部分の草が枯れているのにお気づきでしょうか。これは除草剤による影響です。ヒガンバナの花が出てくる1ヶ月ほど前に、雑草を枯らすための非選択性移行型の茎葉処理剤を散布すると、地下にある球根内の花芽に作用し、枯死することはないもののダメージを受けて、脱色された花が伸びてくるのです。筆者も以前この球根の症状に興味を持ち、家に持ち帰って庭に植えたところ、以後2年間は花が咲きませんでした。3年目に咲いたのですが、元の真紅の花でした。
<写真> 田圃の土手で除草剤のため脱色され白っぽくなったヒガンバナ
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Q18. カイズカイブキの葉が、白く針のようにするどくなり、年々増えていきます。いったいこれは何という現象でしょうか。

カイズカイブキの生垣を年に2回、自分で刈り込んでいますが、数年前から普通の葉に混じって針のようにするどく、色も白っぽい葉が出るようになり、年々増えていきます。いったいこれは何という現象でしょうか。また全部普通の葉にもどすにはどうしたらよいでしょうか?

  カイズカイブキは日本各地の海岸地帯に自生する針葉樹のイブキ(ビャクシン)の園芸品種で、枝がイブキのように横に広がらず、剪定せずに置くと、枝は幹にラセン状に巻きつくような形で上に向って生長します。庭木や生垣など利用範囲は広く、日本各地に植えられていますが特に関西地方には多いようです。ただし、ナシの栽培地では、カイズカイブキを含めビャクシン類が、ナシの赤星病の中間宿主となるため、植えることはできず、知らずに植えていると撤去を求められるようです。
 御質問の件ですが、針状の硬い葉は針葉(はりば)または針形葉(しんけいよう)といいます。これに対し、通常の葉を紐葉(ひもば)または鱗形葉(りんけいよう)と呼んでいます。じつは針葉は幼葉なのです。カイズカイブキは園芸品種のため、さし木で繁殖しますが、基本種のイブキはもちろん種子からの実生もできます。実生のイブキの幼木は最初はすべて針葉が出、生長と共にやがて針葉はなくなり、紐葉となるのです。さし木繁殖で苗をつくるカイズカイブキは針葉はないものの、幹や太い枝近くまで深く剪定すると、徒長枝が出、その葉が針葉になってしまいます。幼葉に返るため、この現象を「先祖返り」といいます。針葉は勢力が強く生長が速いため、そのままにしておくと、針葉ばかりが目立つようになりますので、幹際や枝際ギリギリで、見つけしだい切り取ってください。この先祖返りは、カイズカイブキだけでなく、ビャクシン類全体に現れますので剪定の時などは注意してください。
<写真> 先祖返りが起こり、針葉のついた徒長枝が出ている状態(2枚とも)
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Q19. 秋の七草の一つであるフジバカマの原種をいただいたのですが、絶滅危惧種に指定されている貴重な植物なので、枯れたら大変だと思い不安です。栽培方法と繁殖方法をお願いします。
 フジバカマはキク科の多年草で、学名を「エウパトリウム・ヤポニクム」といいます。主に関東地方以南の太平洋側の河原や岸辺、人里近くの草むらなどに生え、以前はありふれた植物でしたが、河川工事や、田畑の整備、宅地開発や除草剤の使用などの環境の変化で激減し、現在では国のレッドデータブックで準絶滅危惧種(NT)、京都では絶滅寸前種に指定されています。  かつては、古い時代に中国から渡来し、日本に帰化したものだと考えられていましたが、最近の調査では、中国大陸のものと、日本在来のものとは少し異なることがわかり、日本自生説が有力になっています。そのため、いただいた原種というのは、多分日本の在来種だと考えられます。因みに流通している園芸種のほとんどは中国系統のもので、日本在来種と比べ、全体に紫色が濃く、小型に育ちます。  フジバカマは日当りを好み、また水はけのよい土を好みます。適した環境におけば、絶滅危惧種のイメージとはかけ離れ、地下茎をどんどん伸ばして盛んに繁殖します。しかしこの旺盛な地下茎の繁殖力が問題で、外へ外へと広がるため、地植えでも、鉢植えでも、そのままにしておくとやがて自滅し、枯れてしまいます。そのため少なくとも2〜3年に1度、できれば毎年、新芽が出始めた頃に株分けをしてください。また挿し芽も簡単で、5月〜6月の新芽が伸びて茎が固まった頃に、4〜6cmの長さに切って挿し穂を作り、鹿沼土や赤玉土などに挿せば1ヶ月位で簡単に発根します。  フジバカマは種子さえ手に入れば、実生も難しくはありませんが、稔性の完熟種子をつけることがめったにないため、数多く繁殖するには、挿し芽が最も一般的な方法で、栽培家や趣味家の間で、広く行われています。
<写真> 先祖返りが起こり、針葉のついた徒長枝が出ている状態(2枚とも)
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    日本の在来種
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    中国大陸系統の園芸種
Q20. ハボタンの中心がだんだん盛り上がり、薹(とう)が出てきました。「抜き捨てる」以外に利用する方法はないでしょうか。

ハボタンを12月初旬に植えて楽しんできましたが、2月に入ると、中心がだんだん盛り上がりだして、月末には薹(とう)が出てきました。「抜き捨てる」しかないと聞きましたが、他に利用する方法はないでしょうか。

 ハボタンはアブラナ科の夏・秋播(ま)き1年草で、地中海沿岸地方原産のケールをもとに、明治初期に日本で観賞用として改良されたものです。明治以後、冬花壇の中心的な存在でしたが、終戦後の経済成長に伴い、冬向きに改良された草花の品種や冬咲きの新種の草花の導入が続いたため一時は減少傾向にありました。しかし20年位前から、ハボタン自身の品種改良が進み、続々と新品種や新タイプのものが登場することによって、新たに見直されるとともに、現代にマッチした利用方法も考え出され、昨今ではハボタンブームが再来したといっても過言ではありません。
ご質問の件ですが、かつての伝統的なハボタンの花壇では、立春が過ぎると抜き取って春咲きの草花に植え替えていました。しかし現在では3月に入っても残してある所が増えています。遅播きの小型のハボタンは薹(とう)の出るのが遅れるので、そのためかもしれません。また家庭園芸では、ハボタンの花をナノハナとして楽しむ方法もあり、人それぞれでいいのではないでしょうか。
他にハボタンの利用法として踊りハボタン作りがあります。ハボタンの花が咲きだしたら次々と摘みとって実を着けないようにすると、多年草化して年を越し、大型になります。夏は害虫に注意し、風通しのよい半日陰で育て、強風で倒れないよう支柱をします。夏から秋にかけ、茎から複数の芽が出て大きくなってゆき、11月にはボタン型となって、12月には色づきます。この方法は何年も続けることができ、筆者は最長7年間栽培した結果、高さは2mを越し、1株にハボタンの玉が50ヶ以上つきました。場所が許せばぜひ挑戦してみてください。
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    ウォールバスケットに植えられたハボタン
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    踊りハボタン。7年目の開花状態(4月撮影)
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    踊りハボタン。7年目の夏の状態(8月撮影)
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    踊りハボタン。植え付け後7年経過(12月撮影)

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