「京のみどり」情報:市民のみなさんとともに京都の緑を育てていく広報誌です。

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みどりのウォーキングマップ

地域のつながりで守られる 吉田山周辺のみどりを歩く

岡崎神社~金戒光明寺~重森三玲庭園美術館~吉田神社~吉田山緑地~京都大学総合博物館

左京区の南部に位置する吉田山は、神楽岡(かぐらおか)とも呼ばれる丘陵地です。江戸時代には遊宴の地として、また里山として人々と関わってきました。しかし、暮らしの変化によって山と人の距離が離れたことで、山の木々は更新されず、近年はナラ枯れなどが深刻です。そんな身近な森の変化を危惧した周辺住民を中心に、吉田神社、京都大学なども参画し、山の再生を目指す活動が始まりました。吉田山を中心に、一つにまとまる吉田山周辺地域。東山の自然と歴史ある社寺が趣のある景観をつくりだし、学生の町としてにぎやかな雰囲気を漂わせています。様々な要素が融合する町で、のどかな春の一日を過ごしてみませんか。

img-510111109-0001.jpg(←クリックするとPDFファイルが開きます)

 

 平安京からの歴史がある

東天王 岡﨑神社(ひがしてんのう おかざきじんじゃ)

 794(延暦13)年、平安遷都の際に、鎮護のために四方に建立された社の一つで、東天王社と称した。古くから岡崎一帯の産土神として崇敬を集め、厄除け・子授け・安産・縁結びの神として信仰が厚い。往時、境内をはじめ地域一帯がノウサギの生息地で、ウサギが神使いと伝わることから、境内の手水舎には子授けウサギ像、本殿前には狛ウサギがある。また本殿の北側には龍神が祀られた雨社があり雨乞いの神として崇敬されている。

●左京区岡崎東天王町51
☎075-771-1963
境内自由

 

 岡崎神社.jpg

本殿には、素箋鳴尊(すさのおのみこと)、奇稲田姫命(くしいなだひめのみこと)、
その御子八柱が祀られている

 桜と紅葉の名所

金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)

浄土宗七大本山の一つ。1175(承安5)年に、法然上人が比叡山の黒谷を下り、草庵を結んだのがおこり。広大な敷地に、山門、阿弥陀堂、本堂 など18もの塔頭寺院が建ち並ぶ。幕末の1862(文久2)年には京都守護職に就任した会津藩・松平容保(かたもり)が本陣を構え、新選組ゆかりの地としても知られる。熊谷直実(くまがいなおざね)がこの地で出家をした時に、鎧を洗った「鎧池」がある紫雲の庭は、春と秋に特別公開(今春は非公開)される。御影堂では、運慶作の中山文殊や、吉田寺(きちでんじ)(廃寺)に祀(まつ)られていた吉備観音、また現在修復中の山門に掲げられた勅額(ちょくがく)、釈迦三尊像や十六羅漢像を見ることができる。

●左京区黒谷町121
☎075-771-2204/境内自由

 

 金戒光明寺.jpg

直実が洗った鎧を掛けた
「鎧掛けの松」(京都市保存樹)

完全予約観覧制!

重森三玲庭園美術館(しげもりみれいていえんびじゅつかん)

 昭和を代表する庭園家であり、いけばなや茶の湯、日本画にも造詣が深い重森三玲の旧宅の一部が一般公開されている。建物は、吉田神社の社家として名高い鈴鹿家の邸宅を譲り受けたもので、主屋が亨保期(1716-1735)ころ、書院が1798(寛政元)年と伝わる江戸期の建物。三玲が新たに自ら設計して建てさせた、二つの茶席(無字庵・非公開、好刻庵)と自作の書院前庭や茶庭、坪庭が加わり(書院、茶席・無字庵は国の登録文化財)、新旧が融合した空間となっている。

●左京区吉田上大路町/☎075-761-8776/火〜日曜の11: 00、14:00/完全予約観覧制
※ホームページを確認の上、電話、FAX、メールで見学申込みをしてください

 

重森三玲.jpg

1970年につくられた書院前庭。書院からの眺め

宮中の祭事を今に伝える古社

吉田神社(よしだじんじゃ)

 859(貞観元)年、中納言藤原山蔭が、奈良の春日大社4神を勧請し、平安京の鎮守神として吉田山に創建。宮中の祭事を司った卜部氏(のちの吉田氏)が社務を司り、室町時代末期、文明年間(1469‐1487)、吉田兼倶が唯一神道を唱え、その宗家として社運も隆盛した。広い境内には、春日造の本殿をはじめ、吉田の産土神である今宮社や神楽岡社など境内社が11社ある。また境内南には、吉田兼倶が吉田神道の根本道場として創建した、斎場所大元宮があり室町時代から続く節分祭には厄除けの祈祷が行なわれ、多くの参詣者が集まる。

●左京区吉田神楽岡町30
☎075-771-3788/境内自由

 

吉田神社.jpg

スギをはじめ境内には大木が多い。本宮には春日神である4神が祀られている

多様な展示で最先端の研究を体感

京都大学総合博物館(きょうとだいがくそうごうはくぶつかん)

 京都大学が開学以来100年以上にわたり収集してきた学術標本資料約260万点を収蔵し、京都大学の研究をわかりやすく展示する日本最大規模の大学博物館。文化史、自然史、技術史関係の常設展、企画展・特別展に加え、公開講座、学習教室などを催し、広く一般市民に公開している。自然史系展示では、吉田山の西麓を通る花折断層のはぎ取り標本や、カキ(二枚貝)の化石、ネズミやモグラ、ツキノワグマのはく製を見ることができる。

●左京区吉田本町
☎075-753-3272
9:30〜16:30(入場は〜16:00)

 

ランビルの森.jpg

「ランビルの森」コーナーでは熱帯雨林の風景が

大型モニターで映し出され、ボルネオ島の熱帯

雨林を体験できる

 

★道案内★

岡崎一帯の産土神(うぶすながみ)から吉田神社の裏参道へ

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 岡崎神社前バス停で降りて岡﨑神社へ向います(以降、地図参照)。境内には草木が多く、氏神の使いであるウサギの像や絵が至るところに見られます。
 西側の細い道は黒谷へ続いています。かつては栗原岡といい、法然上人が比叡山黒谷からこの地に移ったことから黒谷と呼ばれるようになりました。金戒光明寺の南門を入ると、珍しい石仏や熊谷直実(くまがいなおざね)ゆかりの池があります。広大で静寂な境内は、春になると伽藍(がらん)と桜が美しい風景を織り成します。
 黒谷から吉田山へ向う途中には天皇陵があります。一帯はかつて葬送の地で江戸時代まで吉田寺(きちでんじ)がありました。宗忠神社へ続く階段を上りましょう。振り向くと一直線上に真如堂が見え、迫力のある景色が楽しめます。竹中稲荷神社の鳥居の横を過ぎると吉田神道の斎場所大元宮(さいじょうしょだいげんぐう)が見えてきます。
 吉田神社の裏参道沿いを歩きます。かつては社家群があり、その建築様式を残すのが重森三玲(しげもりみれい)庭園美術館です。重森三玲の才が凝縮された住まいが大切に継がれ、一部が一般公開されています。

 

地域の貴重な緑地から英知が集まる場所へ

 

 表参道から吉田神社へ向かいましょう。平安京の鎮守のために奈良の春日より勧請(かんじょう)されたことから、かつては春日社といわれ、大元宮が吉田社と呼ばれていました。吉田神社に仕えた吉田家は伝統ある社家で、「徒然草」の吉田兼好もその一門です。
 階段を上ると吉田山緑地に着きます。散策道を歩くと、ナラ枯れ木をくん蒸している様子が目立ちます。吉田山は、以前は樹種が多く自然豊かな場所でしたが、近年は山が荒廃し、間伐や植樹による森を再生する活動が地域一丸となって進められています(後述記事参照)。
 山頂休憩広場で一休みをして、ゆるやかな坂と階段を下りましょう。今出川通を歩いていくと、京都大学が広大な敷地を占めています。1897(明治30)年に創立して以来の貴重な研究の一端に触れられるのが京都大学総合博物館です。小さな標本から大型模型まで多様な展示物があり、自然や文化をわかりやすく学ぶことができます。
 たくさんの発見をお土産に、百万遍バス停から、帰路につきましょう。

 

※この記事は2012年3月発行の「京のみどり62号」から内容を掲載しています。

冊子は協会事務所(東山区円山町463)でお配りしています。

★市民活動の紹介~もっと知りたいみどりのこと~

吉田山を守り、地域力の高い町づくりを

〜吉田山を美しくする会・吉田山の里山を再生する会〜

 

 吉田山は1994年に都市緑地保全法(現 都市緑地法)に基づく緑地保全地区(約14ha )に指定され、その後、うち約5.2ha が都市公園法に基づく都市緑地である「吉田山緑地」として開園しました。散策路や山頂休憩広場などが整備され、市民の憩いの場として親しまれています。
 不法投棄やゴミが目立つようになった昭和40年代。住民有志が集まり、吉田山と周辺の美化活動に取り組んできたのが「吉田山を美しくする会」です。その後、吉田山・黒谷区域が京都市美化推進強化区域(※)に指定されたことを機に、地域住民、地域の各種団体、吉田神社などが参画し、正式な美化推進団体として2002年に再結成されました。


 清掃活動は、6月と11月の年2回。地道な活動によりゴミは激減しました。また活動には、子どもから大人まで多くの人が集まるのでよい交流の機会となり、地域全体の美化意識の高まりにもつながっています。
 吉田山は、かつてはサクラやマツの多い遊宴の地で、また里山として利用されてきましたが、人との関わりが少なくなり、京都の他の山々と同様、ナラ枯れなどが深刻になりました。「地域の環境財産を守ろう」という地域住民の強い想いによって2008年に吉田山の環境保全を目的とする「吉田山の里山を再生する会」が発足しました。京都東ロータリークラブの会員を中心に京都大学の職員と学生が協力。「美しくする会」とも連携し、吉田山の里山再生を目指して間伐やサクラの植樹を進めています。
 「自分たちの町の緑の財産を守っていこうと一人ひとりが意識して行動することは意味があることだと思います」と美しくする会の役員、再生する会の副会長を務め、長い間吉田地域に携わってこられた山田 一さんは言います。
 山と人の新しい関わり方が生まれ、地域のきずなが深まっています。

※1997年8月に施行された「京都市美化の推進及び飲料容器に係る資源の有効利用の促進に関する条例」に基づき、市長が特に飲料容器及び吸い殻等の散乱を防止する必要があると認める区域を美化推進強化区域として指定している。吉田山マップ.jpg

◎吉田山緑地(左京区吉田神薬岡町17-1他)については、京都市建設局水と緑環境部
北部みどり管理事務所まで。☎075-882-7019 

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