「京のみどり」情報:市民のみなさんとともに京都の緑を育てていく広報誌です。

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歴史を語る京の木

古からの記憶を継ぐ 廬山寺(ろざんじ)のクロマツ

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京都御苑の東、多くの寺社が並び、植物の気配とともに粛とした空気が心地いい寺町通。この通り
沿いに、938(天慶元)年、船岡山南麓に良源(慈恵(じえ)大師)により開かれた與願金剛院(よがんこんごういん)を起源とする、廬山寺がある。


 『源氏物語』が執筆されたという紫式部邸があったこの場所に移ったのは、1573(天正元)年のこと。6月〜9月にはキキョウが美しく咲く本堂庭園「源氏庭」では、秋になると少し離れて眺める紅葉が一枚の絵のような美しさで、訪れる人を迎えてくれる。


 本堂の東、雲水(くもみず)ノ井の傍らに、紫式部の曽祖父藤原兼輔(ふじわらのかねすけ)の親友、小野道風(おのみちかぜ)の詩を題材にした謡曲『東北』に表れる「澗底松(不遇にある優れた人物のたとえ)」が立っている。現在見られる高さ10.5mのクロマツは「澗底松(かんていまつ)」の名を継ぐ3代目。代々寿命を迎えると、その由緒を絶やさぬため、傍らに植えられた若木がその名を継いでいく。


 光格天皇が何度も訪れ、月見の宴を催したという初代の大木が立っていた場所は今、貴人たちが静かに眠る墓地になっている。雲水ノ井の傍に移されたのは2代目の時。定かではないが江戸時代末期のことと考えられている。その2代目が20年ほど前に松くい虫の被害により枯れ、現在の3代目に引き継がれた。


 涼やかに澄んだ秋空のもと、雅な芸術の気配が深々と漂う廬山寺。貴人たちの想いを代々受け継いで、 3代目「澗底松」は今日も凛として立っている。

●廬山寺

京都市上京区寺町広小路上ル
☎075-231-0355

9:00〜16:00
大人500円、小人400円
京阪鴨東線「出町柳駅」下車、
徒歩15分
市バス「府立医大病院前」下車、
徒歩3分

*この記事は2012年10月発行の「京のみどり64号」から内容を掲載しています。

冊子は協会事務所(東山区円山町463)でお配りしています。

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