「京のみどり」情報:市民のみなさんとともに京都の緑を育てていく広報誌です。

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歴史を語る京の木

徳川家ゆかりの地に咲く 清凉院(せいりょういん)のサルスベリ

歴史の木サルスベリ.jpg

 かつて伏見城の御花畑山荘という御殿があった地に、浄土宗の尼寺、清凉院がある。1600(慶長5)年、徳川家康の側室・お亀の方が、後に尾張藩の初代藩主で尾張徳川家の始祖となる徳川義直をこの地で出産。幼名を五郎太丸といい、このあたりの町名は「五郎太町」と呼ばれる。

 境内にはかつてツバキやマツなど古木が多く、本堂の前には豊臣秀吉お手植えの大きなヒイラギがあったという。台風や虫害、環境の変化により古木が次々に姿を消していくなか、変わらない姿を保っているのが、境内の入口に枝を垂らすサルスベリの大木で樹高は約7m。なめらかな樹肌の幹から何本も枝分かれした先に小さな葉が集まり、大きな樹冠をつくっている。風が通る、大きな木陰は居心地がよく、昔からお寺の方が一休みする場所だった。

 サルスベリは、中国南部原産のミソハギ科の落葉高木で、江戸時代の初めに日本に入ってきたといわれている。「百日紅」とも書くように、一般的に7〜9月と花期が長いが、清凉院のサルスベリは少し遅く、8月初めに花をつけ始め、ゆっくりと8月末に見ごろを迎える。紅紫色のフリルのような花弁は美しく、真夏の青空に映える。

 2004年、「京都市指定保存樹」となり、自然な樹形を生かした丁寧な手入れで少しづつ、伸長し、幹を太らせている。大木から少し離れた参道沿いには、3mほどの幼樹が育ち後継を担う。

●清凉院

京都市伏見区深草
大亀谷五郎太町31
終日参拝可能(本堂は非公開)
JR奈良線「JR藤森」下車、
徒歩約15分

*この記事は2011年10月発行の「京のみどり60号」から内容を掲載しています。

冊子は協会事務所(東山区円山町463)でお配りしています。

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