「京のみどり」情報:市民のみなさんとともに京都の緑を育てていく広報誌です。

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新しい緑の世界へ 挑戦する人

西辻一真さん・新しい"農"に挑戦する人

 

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自分で食べるものは自分でつくる「自産自消」社会の実現を目指して」

 

 

使われていない土地を活用する方法

 高校生のころ、通学路の周りに減反政策で使われなくなった農地がたくさんあり、もったいない、何かに使えないだろうか?と感じていました。そこで「世の中にないような、すごい作物をつくって植
えよう!」と、研究者を目指すことに。京大農学部のバイオや遺伝子組み換えをする学部で研究を続け、栄養素を多く含む作物が完成したものの、長野県でしかつくれず栽培も難しいという結果に…。
 そんな時、今後スローライフというゆったりとした生活を選択する人が増え、その生活には農業が合っている、という講義に触発され、目指す方向性を一転。新たな時代のために、耕作放棄地を畑に戻して使える状態に整え、かつ農業の知識をしっかりと伝達していけるような仕組みをつくろうと考えたのです。さらに、子どもに農業を体験させる場が少ないという現実問題から、子どもの教育的観点に立った農業教室を始めようと思い、生まれたのが「体験農園マイファーム」です。

 

●未来につながる新しい農業のスタイルmyfarm2.jpg

 2007年に会社を設立し、スタートさせた体験農園マイファームは、所有する農家さんから依頼された耕作放棄地を農業体験農園として区画整備をし、農園利用方式(※)で利用する体験「貸し農園」です。苗の植え方や農具の使い方など、管理スタッフから指導を受けられることが大きなポイントで初心者でも安心して有機農業に挑戦、“自産自消”を始めることができます。
 利用者のほとんどが30〜40代。子ども連れが多く週末になると農園には子どもがあふれます。子どもには、農業、そして自然に触れるよい機会になり、利用者には、農業のノウハウを身に付けながら、作物をつくる難しさや楽しみ、自分でつくったものを味わう喜びなど、自産自消の過程でさまざまな気づきを感じてもらえると思います。
 この農業のスタイルは、今までの「生産して出荷し、利益を得る」という農業の定義にあてはまらない、「畑に来て、教えてもらい、楽しめる」という新しい農業のスタイルであり、「未来につながる農業」だと考えています。

 

●目標は耕作放棄地ゼロと自産自消できる社会

 耕作放棄地は全国で38万ha(京都市面積の約5倍)もあり、体験農園マイファームとして現在までに再生できたのはまだ3haです。自産自消ができる人の育成、そして耕作放棄地がゼロになることを目指して、農園を増やしていきたいと思っています。
 今後は中間山地など通いにくい場所にも開園し、収穫物を買い取るという農園をスタートさせようと考えています。収入を得られることで、今までの趣味感覚とは変わり、都市部に住んでいる人が農園の近くに引っ越しを考えるかもしれません。そうなれば、住まいの一極集中を防げる可能性にもつながると思います。
 今年の目標は農園を100箇所にすること。たとえば1000箇所つくると、計算上、日本の食糧自給率が1%上がることになります。国の施策ではなく市民レベルで食糧自給率を上げられるということは、意味のあることだと思います。

 

日本を明るくする「農」の可能性

 日本の農業が明るい方向へ向っていくためには、一人ひとりが自産自消する農業ともう一つ、大規模な農業生産法人など国の食糧を守れるような農業が必要だと思います。その実現を目指し、昨年、より多くの人に幅広く有機農業を学べる場所を提供し、耕作放棄地を自ら耕せる専門的なプロ農家を育成しようと、マイファームアカデミーを設立しました。
 また、放置竹林を再生させる「竹林再生隊」や、獣害を受けやすい耕作放棄地にヨモギを植える「よもぎプロジェクト」、梅の種を利用したプランターの企画販売など、さまざまな事業も展開しています。会社の基本理念は、「見捨てられたものを、もう一度世の中に出す」ということ。新しいものをつくるのではなく、なるべく再生や再利用を考えていきたいです。まだまだ未知の部分が多い農業の領域。それを解明していくのも「農業」の面白いところだと思っています。

 

●●●体験農園マイファーム●●●

平均して15㎡の区画に、手作業、有機栽培で年間を通して15〜30種類ほどの野菜を植えることができます。管理スタッフが、週2〜4日ほど農園を巡回していて、土作りから収穫までの野菜の育て方を現場で指導してもらえるので、農業初心者も安心しmyfarm.jpgて無農薬野菜づくりに挑戦できます。またインターネット上に開設した利用者限定のSNSで情報を交換したり、収穫祭などのイベントで交流をしたりと、利用者同士のコミュニケーションも盛んです。耕作放棄地を所有する農家からの申し出を受け付けて用意する農園は、3年を経て、現在、関西・関東を中心に全国に55箇所、利用者は約1200人となり、毎年開園数が増加しています。京都には第1号の久御山農園をはじめ、上賀茂や伏見区の淀など、11箇所が開園しています。

http://www.myfarmer.jp/

 

 

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西辻一真(にしつじ・かずま)さん
プロフィール

福井県出身。京都大学農学部卒業。2007年、共同創業者である岩崎吉隆氏とともに、(株)マイファームを立ち上げる。体験農園マイファームを全国各地に広げながら、マイファームアカデミーなど、自産自消の理念をスタッフ間で共有することを大切にしながら、さまざまな事業を展開中。

 

■株式会社 マイファーム■

☎075-708-2105
住所:下京区五条通室町西入ル東錺屋町189
   クマガイ五条ビル3F
http://www.myfarm.co.jp/

※体験農園マイファームの申し込みをはじめ、イベントへの申し込みなど、ホームページがすべての窓口です。

 

※この記事は2011年3月発行の「京のみどり58号」から内容を掲載しています。

冊子は協会事務所(東山区円山町463)でお配りしています。

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