花とみどりの相談所だよりQ&A
- Q. マツにはアカマツ(赤松)とクロマツ(黒松)以外に、シロマツ(白松)があると聞きましたが本当ですか?
- 本当です。ただし日本に自生するマツではなく、中国の原産で,通常は「ハクショウ」と音読みし、学名を「ピヌス・ブンゲアナ」といいます。ハクショウは幹の表皮が写真のように白っぽく、剥がれやすくて紋になるため、「白皮松」や「虎皮松」の別名もあります。
分類学上のマツは、裸子植物のマツ科のうち、マツ属(ピヌス、以下、P.)に含まれる種(しゅ)を指し、北半球の寒帯から亜熱帯にかけて、90種前後が分布していて、いずれも常緑の高木または低木です。日本にはこのうち6~8種が分布します。またマツ属の葉は1枚葉の単数葉型と、2~7枚の小葉(奇形を除く)が束生(束状になってつくこと)する複数葉型がありますが、日本のマツは複数葉型のみで、しかも、「アカマツ」(P.ツンベルギー)や「クロマツ」(P.デンシフロラ)などの2針葉と「ヒメコマツ」(ゴヨウマツ。P.パルヴィフロラ)や「ハイマツ」(P.プミラ)などの5針葉のものしかありません。外国産には3針葉のマツも多く、ハクショウも3針葉です。渡来種のマツのうち、もっとも普及している北アメリカ産の「ダイオウショウ」(ダイオウマツ、P.パルストリス)も同様です。ハクショウは江戸時代~大正時代に渡来し、現在では日本各地の植物園などに植栽されていて、栽培は困難ではありませんが生育はにぶく、大木にはめったに出会えません。
因みに、中国・台湾産の「タカネゴヨウ」(P.アルマンディー)の別名の一つに「青松」があります。
- <写真>
ハクショウ(樹高≒2m)(梅小路公園)
ハクショウの幹と表皮
アカマツ(左上)、クロマツ(左下)、ヒメコマツ(右上)、ダイオウショウ(右下)
針葉の束生。ダイオウショウ(左)、ハクショウ(中上)、クロマツ(中下)、ヒメコマツ(右上)、アカマツ(右下)