花とみどりの相談所だよりQ&A
- Q. トキソウの花が大好きなので、栽培しようと考えています。野生ランなので難しいとは聞いていますが、コツがあれば教えてください。
- トキソウは日本全国の日当たりのよい湿地に生えるラン科の夏緑性の多年草です。直立した茎の高さは10~30cmですが、通常の葉は1枚しか付きません。地下部は根茎が横に這(は)い、やや硬くはありますが、あまり太くならないため、根との区別が困難です。この根茎から4月下旬ごろに葉を出して伸び、5月下旬ごろには茎の先端にトキ色の花をつけ、風にそよぐ姿は風情のあるものです。なお、白色の花をつける品種もあって、それぞれの美しさがあります。花が終わった後、残っていた葉は11月に入ると枯れてしまいます。
栽培はそれほど難しくはなく、当公園ではほとんどサギソウと同じ方法で栽培しています。株分けと植えつけは、11月~3月の葉のない頃なら、いつでも行えますが、3月が最適でしょう。古い植え込み材料を取り除き、根を傷めないようにして、根茎を分け、植えつけます。当公園では6号前後の浅鉢に、日向土(ボラ)の細粒で植えつけ、上面に水苔を張ります。水苔単用の場合は、水苔が腐るため毎年植え替えが必要ですが、これなら2年に1度でも十分です。植え込みが終わると、日当たりのよい場所で、1年中腰水に漬けていますが、鉢の3分の1より深く漬けない方がよいでしょう。肥料を施せば花付きはよくなるものの、茎が長くなって見苦しく、また、倒れやすくなるので、控えめにしてください。- <写真>
トキソウの開花(6号浅鉢)
トキソウ(白花)の栽培状態
トキソウの花(トキ色の普通色)5月
トキソウの花(白花)5月
トキソウの根鉢(根茎と植え込み材料)
・下は日向土の細粒
・上面約1cmは水苔