花とみどりの相談所だよりQ&A
- Q. 秋の七草の一つであるフジバカマの原種をいただいたのですが、絶滅危惧種に指定されている貴重な植物なので、枯れたら大変だと思い不安です。栽培方法と繁殖方法をお願いします。
- フジバカマはキク科の多年草で、学名を「エウパトリウム・ヤポニクム」といいます。主に関東地方以南の太平洋側の河原や岸辺、人里近くの草むらなどに生え、以前はありふれた植物でしたが、河川工事や、田畑の整備、宅地開発や除草剤の使用などの環境の変化で激減し、現在では国のレッドデータブックで準絶滅危惧種(NT)、京都では絶滅寸前種に指定されています。
かつては、古い時代に中国から渡来し、日本に帰化したものだと考えられていましたが、最近の調査では、中国大陸のものと、日本在来のものとは少し異なることがわかり、日本自生説が有力になっています。そのため、いただいた原種というのは、多分日本の在来種だと考えられます。因みに流通している園芸種のほとんどは中国系統のもので、日本在来種と比べ、全体に紫色が濃く、小型に育ちます。
フジバカマは日当りを好み、また水はけのよい土を好みます。適した環境におけば、絶滅危惧種のイメージとはかけ離れ、地下茎をどんどん伸ばして盛んに繁殖します。しかしこの旺盛な地下茎の繁殖力が問題で、外へ外へと広がるため、地植えでも、鉢植えでも、そのままにしておくとやがて自滅し、枯れてしまいます。そのため少なくとも2〜3年に1度、できれば毎年、新芽が出始めた頃に株分けをしてください。また挿し芽も簡単で、5月〜6月の新芽が伸びて茎が固まった頃に、4〜6cmの長さに切って挿し穂を作り、鹿沼土や赤玉土などに挿せば1ヶ月位で簡単に発根します。
フジバカマは種子さえ手に入れば、実生も難しくはありませんが、稔性の完熟種子をつけることがめったにないため、数多く繁殖するには、挿し芽が最も一般的な方法で、栽培家や趣味家の間で、広く行われています。
- <写真> 先祖返りが起こり、針葉のついた徒長枝が出ている状態(2枚とも)
日本の在来種
中国大陸系統の園芸種