花とみどりの相談所だよりQ&A
- Q. 植物園の池の側に「グンネラ」という巨大な葉の植物が展示してあって、興味がわきました。個人でも栽培できますか?
- 結論からいいますと、3平方メートル前後の栽培場所があり、多少の工夫をすれば、一般家庭でも栽培は可能です。「グンネラ(以下G.)」はアリノトウグサ科の多年草で、植物園等で栽培している大型種のほとんどは「G.チンクトリア」です。和名は「コウモリガサソウ」で、チリ~コロンビアの原産です。またブラジル南部原産で前種よりもさらに大きい「G.マニカタ(和名:オニブキ)」も、稀に栽培されています。
当協会では「G.チンクトリア」を2007年に実生したものが1株残っているので、これまでの栽培経験をお伝えします。参考にして下さい。
2007年4月1日に、6号鉢に刻んだ水苔を詰め、その上に種をまき、腰水をして、寒冷紗(かんれいしゃ)を張った所に置きました。5月に入ると発芽が始まり、その後の1ヵ月くらいの間に9本の発芽苗を見ました。しかし、梅雨明けと共に苗の元気がなくなって盛夏には立ち枯れも起き、秋には3本になっていました。9月下旬に、これらを4号鉢に水苔単用で植え、冬はそのまま寒冷紗の下でしたが、葉は傷んだものの無事越冬し、翌年(2008年)4月に化成肥料を与えるとぐんぐん生長し、6月には7号鉢に日向土(ボラ)の細粒で植え、上部は水苔で被いました。順調に生長していたので、7月に桶に入れ、鉢の半分くらいを漬けて、樹陰を選んで展示しました。8月になって、葉が急に枯れ出したので、急いで元の場所に戻したものの2株は枯死しました。腰水が深かったのだと考えられます。
残った1株は秋になって回復しだし、翌年(2009年)5月に10号鉢に草花用の培養土で植えつけ、モルタル用の練り舟の中に入れ、現在に至っています。腰水はずっと注ぎ足すのみで、流水は使わず、施肥は4~6月に2~3度、9~10月に1~2度化成肥料を与えています。夏と冬とは葉は傷むものの、一年中、屋外の寒冷紗(かんれいしゃ)下の練り舟で、クリンソウやヒメシャクナゲ、ヒメワタスゲと同居しています。本年(2010年)も生長はよく、7月現在で、葉張り1m、草丈0.8mになりました。昨年の秋に、初めて花穂が見えかけたと思ったら、すぐに止まってしまったので、今年の秋を楽しみにしています。- <写真>
大阪花博での「G.チンクトリア」の開花(1990年5月)
オランダのキューケンホフ公園の「G.チンクトリア」(1999年5月)
「G.チンクトリア」の発芽苗
(2007年7月)
当協会の実生の「G.チンクトリア」(2010年7月)