花とみどりの相談所だよりQ&A
- Q. 今までは、うどんこ病にしかならなかったアラカシの生け垣ですが、今年はそれに加えて、黄色の斑点が一面に付いています。どうすればよいですか。
- 黄色の斑点が付いたようにみえる状態は「カシ類紫カビ病」という、うどんこ病菌の仲間による病気の一つで、2種の病原菌により起きるため、2つの型があるものの、症状はほぼ同じです。日本のナラ・カシ類に付く、うどんこ病菌の仲間は8種類知られていて、単に「うどんこ病」と呼ばれているのは、葉の表面に白い粉状の菌叢(きんそう=菌のむらがり)の付く、「カシ類表うどんこ病」のことです。
「カシ類紫カビ病」は、夏に入った頃に葉の裏に白い粉状の菌叢がちらばりはじめ、やがて広がりながら褐色になり、秋には濃い紫色を帯びた褐色や黒に近い色に変って厚くなり、ビロード状を呈します。病叢は葉の裏側にありますが、葉の表からは、黄緑色に透けて見え、目立ちます。主に常緑のカシ類に付き、アラカシの他には、アカガシ、シラカシ、ウラジロガシ、ツクバネガシ、ウバメガシやスダジイにも発生します。病原菌は木に着いているもの、落ちたものを問わず病気にかかった葉で越冬し、翌年の春に感染します。なお、アラカシには葉の裏に白い菌叢のできる「カシ類裏うどんこ病」も発生します。
うどんこ病類の予防は、被害葉をできるだけ取り除き、落葉もすぐに拾って処分することです。また防除薬には、「トリフミン水和剤」が、樹木類のウドンコ病に農薬登録されていますので、発病初期に散布すれば効果があります。
- <写真>
カシ類紫カビ病(葉の表)
カシ類紫カビ病(葉の裏の病叢)
カシ類表うどんこ病