花とみどりの相談所だよりQ&A
- Q. キンモクセイは全部雄株だと教えられましたが本当でしょうか。雄株だとしたらどうしてあんなに沢山の花をつけるのですか?
- 「キンモクセイ」は中国原産で常緑の小高木ですが、秋には多数の橙黄色の小さい花を束生し強い芳香を放つため、人気の高い花木で、庭木や生垣などに広く利用されています。
植物には、同一の株に雌蕊(めしべ)と雄蕊(おしべ)をつける雌雄同株のものと、雌蕊だけの雌花しかつけない株と、雄蕊だけの雄花しかつけない株が別々となっている雌雄異株のものがあります。また、雌雄同株には、一つの花に雌蕊と雄蕊のある両性花を咲かせるものと、同じ株に雌蕊だけの花と雄蕊だけの花(単性花)を別々につける雌雄異花のものがあります。
雌雄異株の場合、雄株ではあっても、もちろん花を咲かせます。なぜなら、雄花の花粉を昆虫に運んでもらい、雌花の雌蕊に受粉させ、種子を結ばなければならないからです。この場合、動物でも同じことですが、雄株は種子を作る負担がないのと、受粉率を高めるために雌株よりもずっと多くの花を咲かすのが普通です。また雌雄異株の植物の種子を実生栽培すると、初花は通常、雄花ばかりの雄株で、雌株は1〜数年遅れて開花してきます。
「キンモクセイ」は雌雄異株の樹木で、中国から渡来したものです。また、花とその香りを鑑賞する花木で、果実の利用はありません。さらに挿し木繁殖が簡単です。これらを踏まえると、外国から日本へ移入する場合、最も目的にかなうのは、花が沢山咲く個体を選ぶことです。そのため、雄株が選ばれたのではないでしょうか。そして国内で次々と挿し木繁殖した結果、日本の「キンモクセイ」は雄株ばかりになったのだと考えられます。
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キンモクセイの生垣
キンモクセイ(オスマンツス・フラグランス v. オウランティアクス)
ギンモクセイ(モクセイ)(オスマンツス・フラグランス) 雌雄異株(雌木もあり結実する)
ヒイラギモクセイ(オスマンツス×フォーチュネイ) ギンモクセイとヒイラギとの雑種といわれる。雌雄異株だが雌木を見ない