花とみどりの相談所だよりQ&A
- Q. ボタンの苗木を購入し、鉢植えにしましたが翌年から冬になると地上部が枯れ、春には芽が出るという繰り返しです。どうしてでしょうか?
- ボタンの流通苗はシャクヤクの台木に接ぎ木したものがほとんどです。そのため穂木のボタンが何らかの原因で枯れたとしても、台木のシャクヤクが生きていれば、そのような状態になります。なぜなら、ボタンは落葉低木ですが、シャクヤクは宿根草なので、冬に地上部が枯れるのはいわば当然といえます。
通常接ぎ木された植物は台木から芽が出ると、すぐに切りとり、穂木に栄養がまわるようにします。でないと穂木が弱って枯れる原因になるからです。また逆に、シャクヤク台のボタンの特徴ですが、台木が数年で枯れてしまうことがよく起こり、そうなると穂木のボタンも枯れてしまいます。
これを防ぐためには、接ぎ口よりやや上まで土を覆いボタンの自根を出させることです。苗を鉢植えする場合、やや大き目の深鉢にウォータースペースを深目にとって植付け、順次増し土をしていけば自根を出し、シャクヤクの台木が枯れても自根で育ちます。台木にシャクヤクを使う理由は、実生で大量、安価に手に入ることと、初期の生長が速くなるからです。
ボタンとシャクヤクは同じボタン科(又はキンポウゲ科)のボタン属(パエオニア)に含まれます。そのため親和性があり、接ぎ木が可能ですが、科が同じであれば属が異なっても接ぎ木できるものもあり、植物によって異なります。また接ぎ木繁殖するには何らかの実利的な理由がないと、わざわざ行いません。
- <写真>
ボタンの開花。右下の小さい芽はシャクヤクの台芽(5月初)
ボタンの穂木が株元を残して枯れ、台木のシャクヤクがつぼみをつけたようす(5月中旬)
台木のシャクヤクの開花。後方の支柱付きの茎2本はボタン。(5月中旬)
ボタンの接ぎ木苗の植え方