花とみどりの相談所だよりQ&A
- Q. <ヒメリュウキンカ> 団地の樹木の下の何もない地面に、秋になると丸い葉がいっせいに出て、2~3月には一面に花が咲きます。名前がわからないので教えてください。
- この植物は日本原産ではなく、西ヨーロッパから西アジア、北アフリカに分布し、塊根(かいこん)を持ち、夏は葉がなくなる冬緑性の多年草で、キンポウゲ科のキンポウゲ属(ラナンクルス。以下R.と略)に含まれ、一般的に単にラ(レ)ナンキュラスと呼ばれているハナキンポウゲ(R.アジアティクス)の仲間です。学名は「R.フィカリア」といいますが、「ヒメリュウキンカ」と名付けて流通しています。ただし、リュウキンカは同じキンポウゲ科ですが、属は異なり、リュウキンカ属(カルタ)に分類されます。一見よく似ていて、リュウキンカの小型のような草姿をしているものの、湿地性のリュウキンカに比べ、湿地からやや乾燥した場所まで幅広く栽培できます。品種によりやや異なりますが、ご質問のように5月中旬から10月始め頃まで葉がなくなりますので、裸地と間違って、他の植物を植えたり、土を掘り上げたりしないように注意しましょう。性質はいたって強健で、塊根が次々伸びて1年で3~5倍に増えます。繁殖は、株分け以外に根茎伏せもでき、実生も採りまき(※1)すれば秋頃に発芽します。また、変異の多いこともこの植物の特徴で、花色や花型、葉の形の異なるたくさんの園芸品種があるため、日本の山野草の栽培趣味家にも人気があり、古典園芸植物(※2)並みに蒐集(しゅうしゅう)して鉢植え栽培をしている方もいるようです。
(注)
※1 採りまき......採取した種子をすぐにまくこと。
※2 古典園芸植物......主に江戸時代に国内で育種または改良、蒐集された園芸植物の総称。- <写真>
ヒメリュウキンカの群生(3月撮影)
ラナンキュラス・アジアティクス(ハナキンポウゲ)の小型系品種
ヒメリュウキンカの園芸品種'アルプス'
ヒメリュウキンカの園芸品種'グリーンペタル'
ヒメリュウキンカの園芸品種'ボウレス'
ヒメリュウキンカ(品種不明)