花とみどりの相談所だよりQ&A
- Q. 「グリーンネックレス」のラベルに「キク科」とありますが、信じられません。姿のよく似た「玉綴(つづ)り」などもキク科ですか?
- 「グリーンネックレス」(学名セネキオ・ロウリアヌス)は「緑の鈴」とも呼び、アフリカのナミビア原産の匍匐(ほふく)性の多肉植物ですが、間違いなくキク科です。エンドウ豆の連なったような植物がどうしてキク科かというと、写真のようにキク科特有の頭花をつけるからなのです。このように種子植物の分類(※)は、「科」の段階くらいまでは、花の成立ちを中心に行われています。セネキオ属(以下S.)は2,000種くらいありますが多肉植物ばかりではなくて、春の鉢花の一つである「シネラリア」(フウキギク:S.ヒブリドウス)やガーデニングによく使われる「シロタエギク」(S.ビコロル)なども含まれます。
グリーンネックレスによく似た同属のものでは、他に「三日月ネックレス:弦月」(S.ラディカンス)や「大弦月城」(S.ヘレアヌス)が流通しています。なお「パールネックレス(緑の鈴錦:'バリエガタ')」は「グリーンネックレス」の斑(ふ)入り品種ですし、「ルビーネックレス(紫月)」は同じキク科ではあるものの属が異なり、学名を「オトンナ・カペンシス」という「黄花新月」の紫葉の品種'プルプレア'です。原産地はいずれもアフリカで、ナミビアやケープ地方に分布しています。
ただし、「玉綴り」(セドウム・モルガニアヌム)はキク科ではなく、ベンケイソウ科で、しかもメキシコ原産と、科も原産地も異なっています。
繁殖はいずれもさし木や茎伏せをしますが、葉ざしは、ベンケイソウ科の「玉綴り」しか発芽・発根せず、キク科のものは行えません。
注 ※分類のおもな階級 大きい順に、門>綱>目>科>属>種
- <写真>
グリーンネックレス(緑の鈴)(3月)
グリーンネックレスの頭花
キク科の頭花。ヒメムカシヨモギ(左)とフジバカマ(右)
パールネックレス(緑の鈴錦:'バリエガタ')
ルビーネックレス'紫月'(2月撮影)
玉綴り(セドウム・モルガニアヌム)の開花株(7月撮影)