花とみどりの相談所だよりQ&A
- Q. ミカンの苗木を買って鉢で育てていますが、下の方から出た枝に、ミカンと違った葉がつき、冬には枯れて落ちました。大丈夫でしょうか?
- これは接ぎ木の台木から芽が出たもので「台芽」といいます。ミカン(ウンシュウ)に限らず、通常、果樹の苗はほとんどが接ぎ木苗です。実生(種子をまく)から育てると、親木と同じ品質の実にならずに先祖返りや交雑のため、果実の劣化が起きるからです。特にウンシュウミカンは種子ができることはめったにないため、栄養繁殖しか方法はありません。接ぎ木繁殖の場合、根のついている方を台木といい、接ぐ方を穂木といいます。カンキツ類(ミカン科の果樹)の台木としては、カラタチ(キコク)やユズなどが使われますが、現在は主にカラタチを使用します。カラタチは台木として養成しやすいばかりでなく、寒さや土壌病害虫にも強いうえ、矮化台といって、木が小型に育つため収穫が楽で、おまけに実を着ける年齢も早くなるからです。
カラタチは中国原産で、古い時代に日本に渡来し、刺(とげ)が鋭いため、生け垣によく使われましたが、今は接ぎ木用の台木としての利用が中心です。ただ、カンキツ類は常緑樹ですが、カラタチは落葉樹なので、冬に葉が落ちるのは当たり前で、台木としては差し支えありません。ただしそのまま残しておくと、せっかくの根からの養分を奪って伸び、穂木のミカンの生長が衰えるため、見つけしだい台芽は切り除いてください。
- <写真>
切り口の左下の台木のカラタチから芽が出ている状態。右側の直立した主枝は穂木のウンシュウミカン(9月撮影)
台芽のカラタチが落葉している状態(1月撮影)