花とみどりの相談所だよりQ&A
- Q. アブチロンの背丈が1m位に大きくなり、毎年春と秋にたくさんの花が咲くのを楽しんでいましたが、夏になって急に葉がしおれ、枯れてしまいました。どうしてでしょうか。
- アブチロンと呼ばれる植物は、アオイ科アブチロン属に含まれる種(しゅ)の全体を指し、世界の熱帯と亜熱帯におよそ100種が分布しています。低木や多年草がほとんどですが、一年草もまれにあります。ただし園芸植物として栽培され、流通しているものは少なく、二つの原種とその園芸品種、またこれらを交雑させて作りだした品種群がほとんどです。
原種の一つはウキツリボク(学名:アブチロン・メガポタニクム、流通名:チロリアンランプ)で、ブラジル原産の半つる性常緑小低木です。もう一つはショウジョウカ(学名:アブチロン・ストリアツム)といい、熱帯アメリカ原産の小低木で、つる状にならず、茎は直立します。また、交雑種には、半つる性のものと直立するものの両方があるため、栽培上、上記のものをすべてひっくるめ、半つる性型と直立型に二大別することができます。
アブチロンは熱帯地方の原産ですが、寒さには強く、関西地方の市街地では十分屋外で越冬します。軒下などのように霜や寒風が防げる場所なら寒さによる傷みも少なく、葉が落ちる程度です。その反面、盛夏になると立枯病がよく発生します。半つる性型よりも、直立型の方がかかりやすいようで、予防するには、水はけのよい土で植え、梅雨入り前に施肥を止めます。また盛夏には鉢の表面や側面に直射日光が当らないように工夫すれば予防効果があります。
いずれにしても、アブチロンは元々寿命の長い木ではないので、あらかじめさし木をして苗を用意しておく方が無難です。5〜10月の間ならさし木は簡単です。立枯病になって、葉がしおれだしたものでも、すぐにさし木をすればほとんど活着します。
- <写真>
アブチロン'サクラ'(直立性)
アブチロン'スウィング・ベル'(半つる性)
アブチロン'ベラ'(直立性)
アブチロン'ホワイト・キング'(直立性)
アブチロン'姫りんご'(直立性)
学名アブチロン・メガポタニクム(半つる性)