
松の手入れ-「葉むしり」
2010年12月17日更新

梅小路公園「いのちの森」北側、園路沿いにある2本のアカマツは、京都の由緒ある名園から譲られたもので、樹齢は100年以上あり、下京区の「区民の誇りの木」に選ばれている木です。
造園の世界では「松に始まり、松に終わる」といわれるほど、マツの維持管理は奥が深いと言われています。梅小路公園でも、この大切なマツの管理を協会職員が行っています。その一部をご紹介します。
こちらの2枚の写真。同じ枝を写したものですが、マツの『葉むしり』を行った前後の枝の様子です。、寒くなるこの時期、マツの休眠期である10月末頃から2月頃までに行います。上の写真と比較すると、下の写真は奥の幹の部分や、手前の白っぽい枝ぶりが非常によく分かります。これは、枝についた葉を手作業でひとつひとつ落としており、葉がすいたため、枝がきれいに見えてきたものです。
マツの『葉むしり』は、管理の中の重要な作業で、古くなった葉をむしることで翌年の葉芽の育成を補助する役割や、害虫を防ぐ役割があります。また、マツは枝を途中から切除すると、芽が出ずに枯れてしまいます。美しい樹形を維持するために欠かせない作業のひとつです。
このアカマツ1本の手入れに、約3~4日かかります。 手入れを行っている職員は、
「京都は、その庭園文化とともに、高い造園の技術が培われてきた場所。マツの管理も、地方によって異なり、造園会社や職人によって個性が現れ、それぞれその仕上がりは異なります。全体のバランスや、枝ぶりを吟味し、樹勢をコントロールすることにより、美しいマツに仕立てあげ、大切に育てていきます。」といいます。いったん手入れをおこたったり、枝や芽など無作為に折られてしまったりすると、樹形を戻すことはとても難しく、時間がかかるといわれています。
この作業は一般的に行われますが、京都の気候では、冬に『葉むしり』をした後の枝にうすく雪がつもり、その枝ぶりが強調された様子を楽しむこともできます。その土地、気候にあった管理と美しさの表現が培われています。
公園のマツにも京都の人々が大切にしてきた庭園文化と技術が刻み込まれています。