花とみどりの相談所だよりQ&A
- Q. 梅小路公園に、北海道で見た「ハマナス」にそっくりの花が咲いています。もし「ハマナス」だったら、どうして京都で育つのですか?
- 梅小路公園には数株の「ハマナス」が植えてあり、5~8月には花をつけています。「ハマナス」はバラ科バラ属(ロサ)の落葉低木で、学名を「ロサ・ルゴサ」といいます。「ハマナス」と聞けば、すぐ北海道、しかも知床のイメージが強いのですが、これは「知床旅情」という歌の影響によるものです。分布は東アジアの温帯、亜寒帯で、日本には、北海道と周辺の島、及び本州の日本海側では鳥取県以北、太平洋側では茨城県以北に自生しています。
「ハマナス」には、標準色の桃色以外に、赤紫色、白色などの花があり、それぞれに八重咲きがあります。また、19世紀にヨーロッパに渡って、園芸バラと交配され、多数の品種ができ、ルゴサ系と称されています。
暖地である京都で生育する理由ですが、もともと「ハマナス」は、海岸に自生するため、案外暑さに強く、かなり以前から、暖地でも鉢植え栽培が行われていました。しかし、各地で多く植栽されるようになったのは、ノイバラなどを台木とした接ぎ木苗の流通開始以後です。地上部の穂木は寒地性の「ハマナス」でも地下の根系は暖地性の台木のため、暑さに強くて、栽培が容易になったのです。同じような例に、イボタの台木に接いだライラックがあります。このように接ぎ木することにより、本来寒地性で、長い夏の暑さを嫌う植物でも暖地で栽培されるようになりました。因みに、園芸バラの流通苗はほとんどが接ぎ木です。これは、耐暑性のみでなく、耐病性、生長、発根力、繁殖効率など、さし木繁殖に比べ多くの利点があるからなのです。- <写真>
「ハマナス」(桃色八重)
梅小路公園(6月)
「ハマナス」の開花(赤紫色一重)
梅小路公園(6月)
「ハマナス」の花(白花一重)梅小路公園(7月)
「ハマナス」の結実
梅小路公園(8月)